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次の100年を見据えて~【コラム】 田嶋幸三の「フットボールがつなぐもの」vol.21~

2024年01月01日

次の100年を見据えて~【コラム】 田嶋幸三の「フットボールがつなぐもの」vol.21~

TOYO TIRES CUP 2024で向かえる新年

新年 明けましておめでとうございます。
日本サッカー協会(JFA)の2024年は、SAMURAI BLUE(日本代表)とタイ代表による「TOYO TIRES CUP 2024」で幕を開けます。同大会は、JFAメジャーパートナーのTOYO TIRE株式会社初の特別協賛で、日本代表戦としては史上初の元日開催です。長年、国立競技場で行われる元日の天皇杯決勝が、“サッカー冬の風物詩”として親しまれてきましたので、SAMURAI BLUEの試合で新年を迎えられることを喜ばれているファンも多いのではないかと思います。

SAMURAI BLUEは昨年3月のキリンチャレンジカップ2023でウルグアイに1-1で引き分け、次のコロンビア戦で1-2と惜敗しましたが、6月のインターナショナルマッチウィークで2連勝し、9月にはアウェイで強豪ドイツに4-1、トルコに4-2の快勝。カナダとのMIZUHO BLUE DREAM MATCH 2023、チュニジアとのキリンチャレンジカップ2023も勝利し、連勝を8に伸ばしました。本日14時キックオフのタイとのTOYO TIRES CUPを勝利し、2週間後に始まるAFCアジアカップ2023に弾みを付けたいと思います。

AFCアジアカップは2011年のカタール大会以来、優勝から遠ざかっています。厳しい戦いが続くと思いますが、SAMURAI BLUEには何としてもアジア王座を奪還してほしいと期待しています。

オリンピックイヤーの幕開け

さて、今年はオリンピックイヤーです。FIFA女子ワールドカップ2023ではベスト8ながら、その真摯なプレーで世界から称賛を浴びたなでしこジャパンは、昨年10~11月に開催されたアジア2次予選を3連勝して最終予選に駒を進めました。アジアの枠は二つと狭き門ですが、なでしこらしさを発揮できれば必ずオリンピックの出場権を獲得できはずです。決戦は2月24日(土)と同28日(水)、朝鮮民主主義人民共和国(DPR Korea)と戦います。

一方のU-23日本代表は4月15日(月)から始まるAFC U23アジアカップ カタール2024でパリ行きの切符を懸けて戦います。オリンピック予選を兼ねた同大会は、16チームが参加し、4チームずつ4グループに分かれてグループステージを戦い、各グループの上位2チームがノックアウトステージに進みます。日本は、韓国、アラブ首長国連邦(UAE)、中国が同居するグループB、強豪ぞろいです。この大会で3位までに入ればパリオリンピック行きが決まり、4位の場合はアフリカの代表チームとのプレーオフに回ります。大会まであと4カ月、インターナショナルマッチウィークではない難しさがありますが、チームのサポートに全力を尽くす考えです。

また、ビーチサッカーのワールドカップが2月15日(木)、UAEのドバイで開幕します。日本はグループCで、コロンビア、ベラルーシ、セネガルと対戦。前回大会は銀メダルを獲得していますので、もちろん優勝を目指して臨みます。

盤石の組織基盤を築く

JFAは、2021年に創立100周年を迎え、この数年間、次の100年に向けて登録制度改革や組織改革に力を注いできました。昨年7月には、課題だった理事会体制と業務執行体制の基本方針を策定。理事会については、27人の理事(監事3人)を大幅に減らすという大改革を断行します。また、JFAの選手にかかる登録料(分担金)を47FAが直接、管理・運用するスキームに変更したことで、47FAがサッカー行政を実行できる土台を築くことができました。
コロナ禍の影響で困難な時期もありましたが、それでも思い切って改革を進めてきたことで持続可能な組織づくりに着手できる基盤を整えられたと考えています。

12月23日(土)には、東京都文京区の東京ドームシティ内に「blue-ing!」がオープンし、高円宮記念JFA夢フィールドに続いて、新たな拠点が誕生しました。
オープン当日は、私と宮本恒靖専務理事、そして、空間監修と一部コンテンツ制作を担当していただいた、筑波大学デジタルネイチャー開発研究センター長の落合陽一さん、株式会社東京ドームの長岡勤代表取締役社長COO、文京区の成澤廣修区長、元なでしこジャパンの澤穂希さんによるオープニングセレモニーを行いました。多くのファンの皆さんが駆けつけてくださり、にぎやかなオープニングとなったことをうれしく思います。
最新技術を駆使し、想像を超えたサッカーの楽しみを味わうことができるblue-ing!。サッカーファミリーはもちろん、普段、サッカーにあまり関わることのない方にもお越しいただき、サッカーの魅力や楽しさを知っていただければと思います。

Jリーグ、2026年からシーズン移行

12月19日に開催されたJリーグ理事会で、2026/27シーズンから開幕を8月に変更することが全会一致で決まりました。

Jリーグのシーズン移行については、2000年に立ち上げた「J. League NEXT 10 Project」で議論をスタート。2008年以降は「JFA/Jリーグ将来構想委員会」で検討を重ね、その後もJリーグ各クラブとの分科会や担当者会議、実行委員会、理事会で討議してきました。
2023/24シーズンからAFCチャンピオンズリーグのシーズンが変わることに伴い、Jリーグは野々村芳和チェアマンのリーダーシップの下で再び議論を開始しました。事務局やJリーグ60クラブの皆さんが多角的な観点で話し合い、リーグが目指す姿を明確化した上で、それを実現するためにシーズン移行を実施すべきであると判断し、今回の決定に至りました。

秋春制へのシーズン移行は、夏の猛暑下の試合数が減って選手が年間を通じて高いパフォーマンスを発揮できることや、シーズン中に選手がヨーロッパのクラブに引き抜かれるといったケースも減るといったメリットがあります。JリーグのシーズンがAFCチャンピオンズリーグ(ACL)やヨーロッパ各国と一致することで、Jクラブが国際力を付けて世界に打って出るチャンスも広がりますし、それが、やがてSAMURAI BLUEがワールドカップで優勝することにもつながるはずです。

一方で解決すべき課題もあります。降雪地域の施設整備や猛暑への対策は、年間を通じてサッカーができる環境を整えることにつながるもので、サッカー界を挙げて取り組んでいくべき課題です。自治体の理解と協力を得ることも不可欠ですし、施設整備やキャンプ費用などにかかる財政支援もJリーグとJFAが一丸となって推し進めていかなければなりません。

それでも、Jリーグと日本代表が世界トップへと成長するためには「シーズン移行」は避けて通れないこと。その大きな挑戦に対し、JFAは、JリーグとJクラブと共に残された課題解決に力を尽くしていく考えです。

次の100年を見据えて

少子高齢化の進展や人口減少、気候変動といった社会課題に加え、IT化やAI化によるライフスタイルの変化などから見ても、これからの時代、スポーツが果たす役割はますます大きくなっていくでしょう。老若男女、ジェンダーや障がいの有無、国籍・民族などを問わず、広くあまねく人々がスポーツに親しむ中で心身の健康やコミュニケーションを育める社会をつくっていくことは、スポーツに携わるわれわれの使命です。

3月には新会長の下、次の100年に向けて新たな一歩を踏み出します。デジタル化やDX化、ウェルビーイングに資する取り組みなど、時代に即した改革を進めていく一方で、変えてはならないものはしっかり次の世代に継承し、人々の心身の健全な発達と社会の発展、国際親善に貢献するサッカー界をつくっていく考えです。
今年も日本代表チームが活躍することによって日本を盛り上げ、サッカーを通じた社会貢献にも全力で取り組みたいと考えています。
2024年がサッカーファミリーの皆さんにとって素晴らしい一年になりますよう祈っています。

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