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しっかりと気付きを伝えられる人がそこにいること ~サッカーの活動における暴力根絶に向けてVol.101~

2021年02月18日

しっかりと気付きを伝えられる人がそこにいること ~サッカーの活動における暴力根絶に向けてVol.101~

例年、各地域で開催していたJFAウェルフェアオフィサー研修会を、2020年はオンラインで開催した(リフレッシュ研修会:6回、新規研修会:3回開催)。

新型コロナウイルス感染拡大の状況を鑑みると、移動のリスクや大人数で集まっての研修会は、できるだけ回避せざるを得なかった。この研修会をオンラインで開催するのは初の試みだったため、懸念がなかったわけではないが、開催後のアンケート結果からは、満足度が概ね「高い」という結果が得られた。ホッとしている。地域の枠を越えてディスカッションができたことや、平日夜の開催枠を設けたことも、満足度が高かった理由の一つだったようだ。

さて、ウェルフェアオフィサーにはご存じの通り、下記の3つの種類がある。

①ウェルフェアオフィサー(ジェネラル)
各都道府県サッカー協会(FA)で、研修会などを通じて活動を推進する

②マッチ・ウェルフェアオフィサー
大会やリーグ戦など、各種試合を通じて指導者に気付きを伝える。受け入れられない言動に対してだけに気付きを伝えるのではなく、ポジティブな指導にも気付きを伝える

③クラブ・ウェルフェアオフィサー
クラブの日常の活動を通じて、クラブの全てのメンバーに気付きを伝える。クラブ内におけるリスペクトやフェアプレーの啓発・促進を行うとともに、諸問題への対応や、暴力・暴言、差別などの啓発・予防活動を行い、未然に問題を防ぐ

この中のうち、2020年の研修会では、特にクラブ・ウェルフェアオフィサーについて取り上げた。

2つの議題に対してグループディスカッションを行ったが、そのうちの一つは、あるクラブの事例として作成されたシナリオを基にしたものだった。良いところ、改善すべきところなどを挙げ、もし自分がそのクラブのクラブ・ウェルフェアオフィサーだったら、良いところはより良くするために、改善すべきところは具体的にどのように改善すべきか、その点についてグループごとにディスカッションを行った。

シナリオには、一見どこにでもありそうなエピソードも含まれていたが、それに対してあらためて考えてみると、「これは改善点なのか?」「良いことなのか?」「所属しているクラブでは普通のことだけれども......」など、さまざまな意見が出てきた。身近に起きそうなことを再度考えてみることで、新たな気付きも生まれた。また、具体的な改善策を考える中で、クラブ・ウェルフェアオフィサーとしてやるべきことを、より明確にできたのではないかと思う。

普通だと思っていたことが、年月の経過とともに普通ではなくなり、「改善すべきこと」になっている場合もある。その変化に、自分自身で気付くことは簡単ではない。問題が起きてから対応しても、完全に解決することが難しいケースもある。だからこそ、未然に防ぐための啓発や予防が大切だ。定期的にクラブ内で見直したり、チェックシートなどを活用して見直したりすることで、自浄能力を高め、常に安心してサッカーを楽しめる安全な環境を保てるようにしていかなければならない。

現実的には、特にスタッフの人数が限られているタウンクラブにおいて、クラブ・ウェルフェアオフィサーだけの役割を担う人を配置するのが容易ではないことは承知している。その場合、クラブの代表などが、その時々で立場を明確にしながら、クラブ内で対応するという方法もある。大切なのは、問題を未然に防ぐために、問題が起こりそうなときに、相手に対してしっかりと気付きを伝えられる人がそこにいることだ。

チームメイト、相手チーム、指導者、審判員、家族、ファン・サポーターなど、ここには書き切れないほど、サッカーを通じて多くの人が関わっている。楽しむためには、関わり合う全ての人たち(物も)が大切だ。選手は相手がいるから試合を楽しめるし、指導者がサポートしてくれるから、サッカーの楽しさをより知ることができる。指導者も、選手がいなければ指導できないことを忘れてはならない。

2020年度のウェルフェアオフィサー認定者数は103名。ウェルフェアオフィサー(ジェネラル)は全国で334名となった。各都道府県でウェルフェアオフィサーが中心となり、リスペクトの輪がさらに広がっていくことを願う。

【報告者】山岸佐知子(JFAリスペクト・フェアプレー委員長)

※このコラムは、公益財団法人日本サッカー協会『テクニカルニュース』2021年1月号より転載しています。

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