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高円宮U-18サッカーリーグ2014
高円宮U-18サッカーリーグ2014
2014/4/6(日)〜2014/12/7(日)

チーム紹介

流通経済大学付属柏高校

個性と個性がせめぎ合う場所

高校生のやんちゃさと名伯楽の豪放さが、流通経済大学付属柏高校というチームのエネルギー源となっている。選手は、とにかく威勢が良い。強豪校らしく、沖縄や福岡から、最近では海外からと全国各地の選手が集まってくる。中には、複数のJユースから声がかかったFW儀保幸英選手のような逸材もいる。2年生のMF菅原俊平選手は「小・中学生時代の10番(エース)が集まったような集団で個性が強い」と苦笑いを浮かべた。チーム内の競争も激しく、主力MFの相澤祥太選手は「Bチームが本当に強くて、勝てる気がしない。今日も負けた」と首をかしげていた。

自信や覚悟を持った選手たちの集まりだから、とにかく自己主張が強い。チーム内で衝突が起こることも珍しくはなく、最近ではコーチの指導に納得できずに口答えをした選手がいた。強い口調で戒めるコーチに負けず、選手が言い返し続ける。本田裕一郎監督は、その様を振り返って「頼もしいじゃないかと思ったんだけど、その子が次の日の練習を休んじゃった。それは男らしくないだろう、堂々と来なさいと言った」と笑い飛ばしていた。

本田監督は、指導法は進化し続けるべきという考えの持ち主で、67歳になっても衰えを感じさせない。何度も日本一に輝き、大前元紀(現・清水)ら多くのプロ選手を育てた成功体験がありながら、常に指導法を変える変わり者でもある。その手腕は、豪快だ。

選手間で衝突があったときは、争いをしないように諭すのではなく、逆にけしかける。例えば、「お前は金こそすべてと考える人の役、お前は金より大事なものがあると考える人の役。ウソでもいいから必死で考えて相手を言い負かせ」といった突拍子もない設定をその場で設け、あらためて議論をさせるのだ。選手にとっては本音でないから恥ずかしさは軽減され、相手が傷つくこともない。若さゆえに暴走した力を、くだらない論争の勝負に使うのではなく、意見を言い合う練習に使わせようというのだ。慣れない討論と極端な設定で、やり始めると当事者である選手たちが笑ってしまうこともあるという。

本田監督は「ダメなものはダメだが、言われたことをハイと言ってやるだけでは、サッカーは勝てない。ベンチから速く攻めろと言うのと、仲間同士で速く攻めようと言い出すのとでは、全然違う。若い子が自分たちでやり始めたら、大人の考えなんか敵わない」と個性や勢いといった若者のエネルギーがサッカーに集中したときの爆発的な力に期待を持っている。アプローチの方法は変化しても、「自分で考えて意見を話せる子は、状況を判断して行動ができる。自立している。そういう大人にしたい」という選手指導のコンセプトだけは揺るがない。

今季は、気分屋な選手が多く、なかなか本音の言い合いができていない。シーズン途中から主将になったMF久保和已選手は「調子が良いときは強いけど、ムラがあり過ぎる」とチームの安定感のなさを指摘し、DF小川諒也選手は「強い相手との試合になればまとまるけど、普段のまとめ役がいない」とその理由の一端を明かす。薄々は気付いている問題に、選手が真っ向から取り組めるかどうかが、今季の大きなポイントだろう。流経大柏高校のスローガンは、百の拍手が一つの音を成す様を示す「百打一音」。型破りな監督に振り回され、愚痴をこぼしながらもエネルギーを刺激されている選手たちが、その力を一つにまとめられるかどうか。少々危なっかしいが、大いに楽しみでもある。


  • 円陣で気合いを入れて練習が始まった。隣接する半面コートを含めた1.5面で多くの部員が練習に励む

  • ハードルを越えてヘディングをする練習。本田監督は「助走3歩でボールを1回転させろ」と無茶ぶり

  • GKも前へ飛び出してパンチではじく練習を行っていた

  • 2対2の練習。相手の背後へパスを要求する高沢優也選手

  • けがの多い選手がいることについて「無事是名馬」の話を聞かせる本田裕一郎監督

  • 隣の半面コートでは下級生が筋力テストを行っていた

  • 練習の締めの定番である15分ゲームは、チームメートに存在感を示す格好の場。熱気を帯びていた

  • 「お前、ファウルしただろ」、「そっちが先でしょ」と笑いながら言い合う先輩(左)と後輩

  • 各学年に二人ずつ、計6人のマネージャーが献身的に活動を支えている
監督・選手コメント

本田裕一郎 監督
若い子のエネルギーを削いでしまうと面白くありません。子どもに言うべきことは言わなくてはいけませんが、言い方が過激すぎると委縮してしまいます。一方、この年代はほめ過ぎても良いことはありません。選手には他者の意見を聞いてほしいけど、鵜のみにするのでもいけません。自分の意見を持ち、なおかつ相手の意見を素直に聞くことができるのが理想です。

MF 11 久保和已 選手
昨年の終盤は選手同士で激しく言い合ったことがきっかけで、チームの方向性にまとまりが生まれました。ミーティングで行う討論には、試合に出場する選手ばかりが強い発言力を持ってしまいがちな部分を直させる意図があると思います。ただ、やはり言い返せない選手もいますし、大人数が心の壁のまったくない状態になるのは難しいなと苦心しています。

MF 10 相澤祥太 選手
僕たちは、1年生のときから怒られてばかりの世代です。3年生になっても、2年生を相手にした紅白戦で、とにかく勝てば良いと思って反則スレスレのプレーをしながら強引に勝ったことがありました。でも、監督からは「お前たちには風格がない」と怒られ、木鶏の故事を聞かされました。もっと堂々としていないとダメなんだと思いました。

MF 14 菅原俊平 選手
クラブチームでは考えられないような練習量の多さ、電柱タックルとかスライディング練習とか思いもよらないメニューに入部当初は驚きました。入って来る選手のレベルが高く、入部当初は知られていなくてもすぐに台頭した選手もいました。スタッフから褒められることがあまりないので、たまに褒められると一気に自信をつける選手もいます(笑)。

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