JFA.jp

JFA.jp

EN
ホーム > 大会・試合 > JFA 第25回全日本U-18 女子サッカー選手権大会 TOP > 最新ニュース一覧 > 【最後の青春ドラマ】故郷を離れ大阪の地へ…C大阪堺の名を全国区にした初出場・初優勝~JFA 第25回全日本U-18 女子サッカー選手権大会・宝田沙織(ワシントン・スピリット)前編

ニュース

【最後の青春ドラマ】故郷を離れ大阪の地へ…C大阪堺の名を全国区にした初出場・初優勝~JFA 第25回全日本U-18 女子サッカー選手権大会・宝田沙織(ワシントン・スピリット)前編

2021年12月28日

【最後の青春ドラマ】故郷を離れ大阪の地へ…C大阪堺の名を全国区にした初出場・初優勝~JFA 第25回全日本U-18 女子サッカー選手権大会・宝田沙織(ワシントン・スピリット)前編

JFA 第25回全日本U-18 女子サッカー選手権大会が2022年1月4日(火)に開幕します。高校年代の大舞台に立った選手はどのような青春時代を過ごしてきたのか。FIFA U-20女子ワールドカップで世界一を経験し、2019年のFIFA女子ワールドカップや2021年の東京オリンピックにも出場した宝田沙織選手(ワシントン・スピリット/アメリカ)のストーリーをお届けします。

中学から単身、大阪へ

2012年、大阪府堺市に中学生を対象とした日本サッカー協会(JFA)のエリート教育機関・養成システムであるJFAアカデミー堺が開校した。その1期生12人の中に、現在アメリカのナショナル・ウィメンズ・サッカー・リーグ(NWSL)、ワシントン・スピリットに所属する宝田沙織がいた。

富山県で生まれた宝田は、サッカーをしていた父親の影響で幼少期からボールに触れ始め、小学2年生の頃に地元のFCひがしジュニアで本格的にサッカーを始めた。そして中学に進学する際、両親の勧めでJFAアカデミー堺のセレクションを受験する。合格の可能性を少しでも高めようと、フィールドプレーヤーに加えてGKとしても応募し、そして見事に合格を勝ち取ることとなる。

JFAアカデミー堺はチーム登録をしておらず、アカデミーとしての活動は平日のトレーニングのみ。週末や学校の長期休暇の期間中は休みとなるため、大会や試合に出場するためにはどこかのチームに所属していなければならない。宝田の場合、JFAアカデミー堺のセレクションを受けた時にセレッソ大阪レディース(2013年にセレッソ大阪堺レディースに改称)のスカウトの目に留まり、同チームに所属することになった。富山から単身、大阪に移って寮生活をし、平日はJFAアカデミー堺でトレーニング、週末はC大阪レディースで試合に出場する生活がスタートしたのである。

前年の2011年には、なでしこジャパン(日本女子代表)がFIFA女子ワールドカップで世界一に輝いている。宝田は「なでしこジャパンに入りたい」という思いを胸に秘めてトレーニングに励んでいった。

JFAアカデミー堺での3年間を終え、高校進学を機にC大阪堺レディースでのプレーに専念するようになった宝田は、高校1年時の2016年1月、C大阪堺レディースの下部組織にあたるC大阪堺ガールズの一員として第19回全日本女子ユース(U-18)サッカー選手権大会(現・JFA 全日本U-18 女子サッカー選手権大会)に出場した。C大阪堺ガールズとしては大会初出場。宝田は「セレッソが初めて出る大会ということもあったので、楽しみで仕方がなかった」と語っており、また「近い年代のチームと試合ができる機会がなかなかなかったので、実際に出場してみてすごく楽しかったです」と、この大会のことを振り返っている。

全国大会で快挙を成し遂げる

当時のC大阪堺レディースはチャレンジリーグ(2部)やチャレンジリーグWEST(3部)に所属しており、普段は主に成人女子チームと対戦していた。その中で迎えたU-18年代の大会は、宝田にとって新鮮な経験だったようだ。そしてC大阪堺ガールズは、初出場・初優勝の快挙を成し遂げることとなる。

宝田は背番号11を背負い、FWとして大会に出場した。1回戦の大分トリニータレディース戦(10-1で勝利)こそ出場なしに終わったが、2回戦のクラブフィールズ・リンダ戦では先発メンバーに名を連ね、前半だけでハットトリックを達成する活躍を見せて15-1の大勝劇に貢献した。

続く準決勝の浦和レッズレディースユース戦では後半から出場すると、55分には相手GKの頭上を抜く素晴らしいシュートを決めて先制点を奪う。67分には味方のセットプレーからヘディングで競り合ったボールが林穂之香(現・AIKフットボール/スウェーデン)のゴールにつながった。チームは終盤に1点を返されたが、宝田の2点に絡む活躍もあって逃げ切りに成功し、決勝へと駒を進めることとなった。

日テレ・メニーナ(現・日テレ・東京ヴェルディメニーナ)との決勝は0-0で決着が付かず、PK戦の末5-4で勝利をたぐり寄せた。宝田はこのPK戦を「この時の大会で一番、印象に残っている」と振り返っている。5人目のキッカーを務め、キックを成功させたことで優勝が決まったためだ。

「竹花友也監督が順番を決めて、『5人目か』と思いました。練習でPKをけっこう外していて、チームメートもそれを知っていたので不安がっていたと思いますけど、監督が選んでくれたので『もうやるしかないな』と思って思い切り蹴りました。決めることができたのでホッとしました」

実はこの年、全日本女子ユース(U-15)サッカー選手権大会(現・JFA 全日本U-15女子サッカー選手権大会)ではC大阪堺ガールズのU-15チームも初出場・初優勝を果たしている。「下の子からは『自分たちも優勝したから優勝してね』と言われた」という宝田たちは、その言葉を力に変えて初出場・初優勝の快挙を成し遂げた。「チームのために走り切れない選手は使わない」という竹花監督の方針の下、全員の力で獲得した初タイトル。「セレッソの女子チームを知ってもらういい機会になったと思います」との言葉どおり、この優勝でC大阪堺レディースならびにガールズへの注目度は高まっていった。

後編はこちら

大会期間:2022年1月4日(火)~2022年1月10日(月)
大会会場:大阪府/J-GREEN堺

大会情報はこちら

アーカイブ
JFAの理念

サッカーを通じて豊かなスポーツ文化を創造し、
人々の心身の健全な発達と社会の発展に貢献する。

JFAの理念・ビジョン・バリュー