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サッカー、スポーツを不幸せなものにしたくない ~サッカーの活動における暴力根絶に向けてVol.130~
2026年01月28日

安心・安全を守ることは全員の役割
サッカーを安心・安全に楽しむことは、誰もが持つ権利であり、大前提としてあるべきものです。しかし、すばらしいはずのサッカー、スポーツの安心・安全が脅かされるといった問題があることは、多くの人が認識していると思います。
チームスポーツであるサッカーは、パワーハラスメントにつながるリスクがあることも自覚しておく必要があります。「選ぶ」人や「使う」人は、そのパワーをしっかり自覚すべきです。
私たちが愛するサッカー、スポーツを守ること、子どもたちが安心・安全に心から楽しめるようにすることは、関わる私たち全員の役割です。全員が積極的に関わっていかなければ守れません。決して受け身ではなく、誰も見て見ぬふりをせず、関わっている自覚を皆さんが持ってほしい。何かの兆しがあった際、近くで違和感を覚えることのできる人の数を増やしていくことが必要です。
そして、早期で軽いうちに、気付きを伝えたり、相談したりすることで、ごく小さな芽のうちに解決していくことができます。そうしたケースを増やしていくことで、大きく状況を変えることができると考えています。さまざまな現場で「ひどい指導者がいた」「ひどいチームがあった」、「あそこは…」という声をよく聞きます。サッカー界では、ぜひとも気付きを伝え合える、感謝を持って聞ける文化にしたいと考えています。
予防が何よりも大切
重大な案件がもし起こってしまったら、解決は思った以上に難しくなります。取り返しのつかないことが起こり得ることを、忘れてはいけません。安心・安全を守ることの中で、「そうは言っても…」ということは、なくさなければいけません。被害者の心身の傷はもちろんのこと、対応自体も非常に負担が大きいものです。多くの人を巻き込み、多くの影響を与えます。だからこそ、予防が何よりも大切であり、有効です。自分の身近で重大なことが起こるまで、目を背けていてはいけません。
日本サッカー協会(JFA)では、「暴力・暴言をしない、させない、許さない」と掲げています。一人一人がリスペクトの精神に立脚し、高い倫理観を持ち、見識を高め、自分自身が「しない」こと、そして仲間に「させない」ことが大切です。特にサッカー界においては、「させない」こと、仲間が気付きを伝えていくこと、感謝を持ってそれを聞くことを、当たり前にしていきたいと考えています。
情熱を持ち、「良かれ」と思って指導をしている中で、心ならずもエスカレートしてしまったり、起こってしまったりすることがあることも理解しておく必要があります。監督など立場が上になったとき、気付きを伝えてくれる仲間がそばにいることが大切です。それに対して気付きを伝えることは、本人も含めて、多くの人を未然に救うことになります。そして、「許さない」を容認する文化を、先送りにせずに、自分たちの代で、自分たちの手で断ち切ることが重要です。
場の環境にも気を配る
不安に感じるようなことが起こるかもしれません。しかし、我慢して我慢して、我慢し切れなくなり、暴力等根絶相談窓口に報告が上がってきて、その調査を行い、ハラスメント認定がなされるようになるもっと手前の段階で、早くて軽いうちに解決できることを日常の中で増やしていきたいと考えています。そのためには、全国各地の日常で、多くの人が日々強い意識を持って関わることが欠かせません。
常に皆さんが当事者意識を持ち、向き合っていくこと、多くの人数をかけていくことで初めて日々起こり得ることを減らし、深刻化させないことができると考えています。誠実に取り組む多くの人を救うためにも、サッカー、スポーツの価値を守るためにも、全員が役割を担っています。
そして、場の環境にも気を配ってほしいと思います。暑熱や落雷、用具、場の安全、行き帰りの移動も含めた活動の安全に意識を向け、適切な人が関わることが必要です。不幸な事故を決して起こさないために、定期的に環境を総点検しましょう。さまざまなことを想定し、手順や約束事を明確にしておきましょう。クラブとして、指導者として、大切にすることを明文化し、前提を共有しておきましょう。お互いの約束事としての行動規範を明確に持ち、新しい人が入るときは当然、全員で定期的に確認することも大切です。お互いに「そんなことは分かっているだろう」と思うような「期待の食い違い」を消していきましょう。その上で、子どもたちが自分に合った選択肢を選んでいけるようにしましょう。
そうしたことが、子どもたちを、クラブを、指導者を、サッカーを、スポーツを、皆さん全員を救うことになります。私たちを成長させてくれた大好きなサッカーだから、誰にも嫌いになってほしくありません。
【報告者】今井純子(JFAリスペクト委員長)
※このコラムは、公益財団法人日本サッカー協会『テクニカルニュース』2025年11月号より転載しています。
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