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S級コーチ養成講習会2022 Module3・短期講習② 受講者レポート Vol.7

2022年09月12日

S級コーチ養成講習会2022 Module3・短期講習② 受講者レポート Vol.7

Module2から約2ヶ月半の間の学習期間を経て、Module3が短期講習からスタートしました。

課題とModule3の準備、クラブ訪問等、Module2終了から休む間もなく迎えた短期講習では、4グループそれぞれが1つのチームを担当し、中2日で改善するというカリキュラムに取り組みました。最終日の試合ではゲーム前ミーティングからメンバー表の提出、ピッチ上練習まで、公式戦同様の流れでキックオフしました。後半は雷雨となり、試合の決着をつけることはできませんでしたが、トレーニングの手応えを感じ、講習の後半に向けて弾みとなる4日間となりました。

Module3・短期講習②

期間:8月29日(月)~9月1日(木)

8月29日(月) 午後 集合・ガイダンス
選手との顔合わせ・スタッフミーティング・ゲーム前ミーティング
ゲーム
「コンディショニング」 菅野淳(JFAフィジカルフィットネスプロジェクト)
8月30日(火) 午前 指導実践
午後 指導実践
「プロフェッショナルコーチング論・戦術的ピリオダイゼーション」 André Vills Boas
8月31日(水) 午前 指導実践
午後 指導実践・セットプレー
「サッカーのピリオダイゼーション」 Raymond Verheijen
9月1日(木) 午前 ゲーム前ミーティング
ゲーム
ガイダンス

サポートプレーヤー派遣協力:流通経済大学

受講者コメント

柴田慎吾 さん(北海道コンサドーレ札幌U-15)
前回のModule2から約2ヶ月ぶりに開催されたModule3。今回は清水にあるJ-STEPにて、短期講習という形で8月29日(月)から9月1日(木)の期間で行われました。

今回の主な内容は、「指導実践」と、講義では「コンディショニング」、「戦術的・ピリオダイゼーション」、「フットボール・ピリオダイゼーション」でした。

「コンディショニング」の講義は、講師のJFA菅野さんによって、サッカーにおけるフィジカル要素の観点からみたピリオダイゼーションの基本的な考え方を学びました。またそれをもとに、間の学習の課題である、自分が監督になった場合の「プレシーズン(6週間想定)のトレーニング計画」を、どのような根拠に基づいて計画したのかを、グループワークでディスカッションし、代表者が発表しました。本当にすべての方の計画がそれぞれに異なり、改めて色々な考え方と方法があることを学びました。その中で大切なことは、知識をしっかり学び、自チームにあったオリジナルかつ最善の計画を自分なりに考えて作ることだと思いました。

「戦術的ピリオダイゼーション」の講義は、チェルシーなど数々のヨーロッパクラブで監督を歴任され、2021年までマルセイユで監督をされていた、ビラス・ボアスさんによるリモート形式で行われました。内容は戦術的ピリオダイゼーションの基本的な考え方、そしてその戦術的ピリオダイゼーションを基にした、1週間のスケジュールと具体的なトレーニング内容を教えていただきました。トレーニングの構築といった面で非常に勉強になり、また現役のヨーロッパで活躍されている監督に直接講義をしていただいたので、とてもリアリティーがありました。そしてビラス・ボアスさんがおっしゃっていた、監督としての原点は「情熱」だという言葉がとても心に響きました。

「フットボール・ピリオダイゼーション」の講義では、レイモンド・フェルハイエンさんにリモートで講義をしていただきました。レイモンドさんには、フットボール・ピリオダイゼーションの基本的な考え方を軸に、なぜフットボール・ピリオダイゼーションが必要なのか、そしてフットボールの問題を解決する方法はコーチングであり、トレーニングではフットボールの環境の中で、フットボールのアクションをする必要があるなど、一つひとつ論理的かつ刺激的な言葉で丁寧に説明していただきました。その中で度肝を抜かれたのは、学術論的にフットボールには「個人戦術は存在しない」という言葉でした。唖然として、空いた口が塞がらなかったですが、この事も論理的に説明していただき、本当に勉強になりました。

そして最後はメインである「指導実践」です。今回の指導実践は、間の学習で指定されたJリーグの試合の2チームのプレーモデル(攻守・セットプレー)分析+その課題を抽出し、それをもとに指導実践をして、最終日にゲームで対戦をするという形式で行われました。いつもと違う流れでの指導実践でしたが、グループごとに深くディスカッションをして、課題に対してのトレーニングを構築し、グラウンドで実際にトレーニングをして課題を改善していくという日々は、とてもハードながら充実し、本当に勉強になりました。また実際に自分が監督になった時は、このようなサイクルを日々繰り返すことになると思うので、良いシミュレーションになりました。その中での最終日のゲームは、ミーティングやウォーミングアップはもちろんのこと、試合の強度や、得点に対する選手・スタッフの喜び等も含めて、まるで本当の公式戦のように白熱しました。後半途中に豪雨と雷により切り上げとなってしまったことが残念でしたが、1週間の成果と課題も感じられ、とても有意義なゲームになりました。

このS級コーチ養成講習会も約半分の期間が終了し、ここから佳境に差し掛かってきます。日々学びと気づきを与えてくれるインストラクターや講師の皆様、私たちの指導実践でいつも全力でプレーしていただいているサポートプレーヤーの皆様、そして共に高い志を胸に切磋琢磨し支えあっている受講生の皆さんと共に、残りの期間も全力で取り組んでいきたいと思います。

最後になりましたが、今回のModule3短期講習会でお世話になった、流通経済大学の選手・スタッフの皆様、J-STEPの皆様、インストラクターをはじめとしたJFA事務局の皆様、本当にありがとうございました。

菅原大介さん(JFAテクニカルハウス)
Module3・短期講習は、場所を静岡県のJ-STEPに移して、受講生とインストラクターに加え、サポートプレーヤーとして50人程の流通経済大学サッカー部員に集まっていただき、4日間にわたって行われました。

Module2との間に出された多くの課題を受講生全員が無事に提出し、約2ヶ月ぶり講習はスタートしました。

間の学習課題の一つとして、清水エスパルスと柏レイソルのプレーモデルを映像と資料から作成すること、そして明治安田生命J1リーグ第26節「清水エスパルスvs柏レイソル」からセットプレーを含めた4局面の課題抽出がありました。その課題を基に、今回の短期講習では4チームに分かれたサポートプレーヤーを、それぞれを清水エスパルスと柏レイソルに見立て、プレーモデルや課題を3日間落とし込み、4日目に試合を行うという指導実践を行いました。講習が進む中、試合に向けて受講生と選手が一体となってチームを形成していく様子が日々見られ、また試合自体は、後半の途中で雷雨中断となりましたが、選手からは決着をつけたいといった要望もあり、紅白戦の枠を超えた大熱戦となりました。担当グループを試合で勝たせるためにトレーニングを重ねつつ、短い期間で「チームの一体感」をどのように構築していくかも思案しながらスタッフと毎晩議論を交わしたことは、私の財産となりました。

夜の講義は3コマあり、JFAフィジカルフィットネスプロジェクトリーダー菅野淳氏から「コンディショニング」について学びました。サッカーは日々進化しており、フィジカルの領域も密接に関わっていることからも、我々も専門知識をより吸収していかなければならないと感じました。また監督になった場合にどのようなプレシーズン(6週間)を過ごすかの発表を各グループで行い、それぞれの考えが自分にとって参考になりました。

また「サッカーのピリオダイゼーション理論」考案者であるレイモンド・フェルハイエン氏による海外からのオンライン講義も受講しました。サッカーをどのようにプランニングしていくのか、サッカーの中にある問題を解決するというコーチングの目的など、サッカーにおけるアクションとは何であるのか、一から整理するよい機会となりました。

また、ゲームモデルを実践するために、ゲームモデルに関連するものだけで構成したトレーニングを行う「戦術的ピリオダイゼーション」についての講義では、アンドレ・ビラス・ボアス氏がポルトガルより多くのことを語ってくれました。

ポルトで監督をした際の資料の開示し、監督としての哲学も話してくれました。「オファーが来た際は、クラブに何かを求めるよりも【なぜ私を選んだのか】を明確にすることが大事である。なぜならばクラブと同じビジョンを描かなければならないから」といった貴重な話や、ポルトで3冠をとった経験から、「勝ち続けるプロセスを作るために、勝った時に要求すること・負けた時に変えないこと」といった金言も頂けました。

この場をお借りして、インストラクターはもちろん、事務局や補助学生の方に改めてお礼を言わせてください。またサポートプレーヤーのハードワークにも頭が下がりました。彼らのピッチでの振る舞いが素晴らしいからこそ、我々受講生も決して手を抜くことはないという、関係性を築けていました。2022年度のS級指導者養成のスケジュールも後半に突入しています。引き続きよろしくお願いします。

次回は、田村雄三さん(いわきFC)よりお伝えします。

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  • S級コーチ養成講習会は、スポーツ振興くじ助成金を受けて実施しています。
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