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なでしこジャパン チリに勝利してグループステージを3位通過 一発勝負のノックアウトステージへ

2021年07月28日

なでしこジャパン チリに勝利してグループステージを3位通過 一発勝負のノックアウトステージへ

なでしこジャパンは7月27日(火)、東京オリンピックのグループステージ第3戦でチリと対戦。負ければ後がない試合でしたが、日本は田中美南選手のゴールで1-0と勝利。無観客だったこれまでの2試合とは異なり、宮城スタジアムに入った観客の力強い手拍子が日本を後押しする中、自力でノックアウトステージへの切符を掴みました。
 
日本は第2戦のイギリス戦から5人を入れ替え、センターバックの宝田沙織選手が初先発。他会場の結果次第では引き分け以上でも次に進める状況でしたが、「勝って、自分たちの力で次に繋げたい」という熊谷紗希主将の言葉通り、前線からの守備で相手ゴールに迫ります。

立ち上がり2分に岩渕真奈選手がファーストシュートを放つと、それに続くように前線の菅澤優衣香選手、杉田妃和選手、長谷川唯選手の前線4人が流動的に動きながら、次々にシュートチャンスを作り出します。10分には、右サイドをオーバーラップした清水梨紗選手のグラウンダーのクロスから惜しいシーンが生まれ、17分には岩渕選手のスルーパスから杉田選手が決定機を迎えますが、シュートは世界屈指のGK、クリスティアン・エンドラー選手のビッグセーブに阻まれました。

勝利するしか後がないチリは、1、2試合目とほとんど変わらない顔ぶれでこの試合に臨んでいましたが、疲れ知らずの粘り強い守備でゴールを死守。21分の岩渕選手のシュートも、MFフランシスカ・ララ選手に体を投げ出してブロックされます。日本はボール保持率でチリを上回り、前半だけで10本以上のシュートを放つも、ゴールをこじ開けることができません。一進一退の展開で試合はスコアレスのまま後半に突入しました。

後半、交代で投入された田中選手が立て続けにコーナーキックからシュートを放ち、守備でも前線からのチェイシングで流れを呼び込みます。54分には遠藤純選手が投入され、前線のコンビネーションから持ち味の左足シュートを放ちますが、枠を捉えることができません。65分には最年少の木下桃香選手が入り、豊富な運動量で中盤を活性化します。しかし、チリの鋭い出足に苦しめられた日本は、69分、ペナルティエリア内でボールを奪われ、ララ選手のヘディングシュートがクロスバーを直撃。ボールはゴールライン上で跳ね返り、ゴールは認められませんでしたが、ヒヤリとさせられます。

日本に歓喜の瞬間が訪れたのは、77分でした。杉田選手の縦パスをペナルティエリア内で受けた岩渕選手がキープし、相手を背負いながらゴール前に出したパスに走り込んだのは田中選手。「GKの動きを冷静に見て決めることができた」と、エンドラー選手との駆け引きを制し、ついに均衡を破ります。このゴールで再びスイッチが入った日本は、気持ちのこもったプレーでチリの猛攻を抑え、勝利を掴みました。

地元開催のオリンピック、過密日程の中、厳しい戦いとなったグループステージを突破し、「今までに感じたことがないようなプレッシャーを感じていました」と思いを吐露したのは、最前線でチームを牽引した岩渕選手。ベンチメンバーも含めた総力戦で次に繋げ、「ここからは、強豪相手に自分たちがどれだけできるのかが楽しみです」と、チームと個々の成長を力に変えて挑みます。
準々決勝の相手は、初戦でアメリカを3-0で破り、G組を3連勝で1位通過した優勝候補・スウェーデン。試合は30日(金)、埼玉スタジアム2002で19:00キックオフです。

監督・選手コメント

高倉麻子 監督
勝点3がなんとしても欲しい、絶対に勝たなければいけない試合だと理解してゲームに入りました。序盤からいい形ができていましたが、チリは体を張った素晴らしい守備をするチームだったので、なかなかゴールをこじ開けることができませんでした。焦らず、我慢強く戦いながら1点をなんとかもぎ取って勝利できたのは、選手たちの頑張りです。ここからはノックアウトステージになりますし、対戦相手のスウェーデンは予選リーグの試合を見ても、一番調子がいいチームです。一発勝負なので、戦い方をしっかり選手と共有して、何かを起こしたいと思います。

DF #4 熊谷紗希 選手(FCバイエルン・ミュンヘン/ドイツ)
皆さんに見ていただける中で試合ができることは、選手として幸せなことです。家族も見に来てくれて、生の応援が本当に自分たち選手の後押し、力になると改めて感じた試合でした。自分たちの力で予選を突破できて本当に良かったですし、ここからはどことやっても厳しい戦いになると思います。スウェーデンは前線に強力な選手もいるので、どう守っていくのか作戦を立てます。一発勝負で私たちにも必ずチャンスは巡って来るだろうし、最大限の良い準備をして、粘り強く戦いたいと思います。

DF #2 清水梨紗 選手(日テレ・東京ヴェルディベレーザ)
全員で取りに行った一点で、次に繋げられたことが一番の成果だと思います。毎試合、全員で目の前の試合にすべてをかけて戦っていますが、その思いを見てくれる方たちにもっと伝えられるようにしたいです。この試合もまだできることがあったと思いますし、それを次の試合で全部出すことが、また次のステップにつながると思います。スウェーデンは初戦でアメリカに勝って勢いがありますが、ボールをつないで主導権を握れるように準備したいです。

MF #8 三浦成美 選手(日テレ・東京ヴェルディベレーザ)
ここまで自分たちの意図する守備がなかなか表現できなかった中で、この試合は、「自分が指揮をとって動かそう」という意識でプレーして、うまく相手をはめられたシーンもありました。中盤はスペースがあったので受けて繋げるところはありましたが、ファウルを取られることが多く、世界大会の難しさを感じました。準々決勝は、気持ちの面で最後まで諦めないことや、球際で負けない「なでしこらしさ」を出しながら、個人的にはボールをたくさん触って、攻撃の起点になりたいと思います。

FW #11 田中美南 選手(INAC神戸レオネッサ)
自分たちは勝つしか前に進む道が残っていなかったので、「どんなにシュートを外しても、一本決めたら後ろが守ってくれると信じてやり続けよう」と思ってプレーしました。ゴールシーンは、GKの動きを冷静に見て決めることができました。本当に厳しい戦いでしたけれど、みんなが90分集中して戦って、最後に点が取れたと思います。初戦でPKを外してしまいましたが、みんなのおかげで取り返すことができて感謝しています。皆さんが見てくれていると感じられた試合で、有観客は改めていいなと思いました。

FW #10 岩渕真奈 選手(アーセナル/イングランド)
1試合目で面食らって、2試合目は難しい試合で、3試合目で勝たなければいけない、という状況が、自分たちを少しずつ強くしてくれていると思います。「口だけじゃなく、自分たちが目指すものを感じ取ってもらえるようなプレーをしようね」と話して臨んだ中で、勝ったことでそれが繋がりました。ここからは強豪相手に自分たちがどれだけできるのかが楽しみです。まだまだ、次で負けるわけにはいきません。しっかり休んでいい準備をしたいと思います。

第32回オリンピック競技大会(2020/東京)

サッカー競技日程:2021年7月21日(水)~2021年8月7日(土)

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