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ブルーノ・ガルシアのフットサル道場 vol.9「FIFAワールドカップロシアから得られた成長のヒント」

2019年11月27日

ブルーノ・ガルシアのフットサル道場 vol.9「FIFAワールドカップロシアから得られた成長のヒント」

必見「フットサル道場」!
機関誌『JFAnews』で連載中のブルーノ・ガルシアフットサル日本代表監督のコラムをJFA.jpでもお届けします。フットサルの魅力や指導法など、フットサルだけでなく、サッカーにも通じるポイント満載です。
※本コラムはJFAnews2018年8月に掲載されたものです

多様なスタイルがぶつかりセンセーショナルな大会に

2018FIFAワールドカップロシアはフランスの優勝で幕を閉じた。大会を通じて感じたのは、世界の力の差が縮まっているということだ。これは2016年のフットサルワールドカップでも同じようなことが起きたが、サッカーにおいてはさらに加速しているようだ。
ゲームを見ていると、どこのチームも独自のスタイルを持っていて、それが際立つ大会だった。日本には日本の、イランにはイランの、といった具合にそれぞれに個性豊かなスタイルを確立していて、それぞれが成功の要因を秘めていた。これはすごくセンセーショナルなことだ。
ブラジルを含めた、いわゆる強豪と言われるチームは、歴史と知性、情報を蓄えている。本来ならば相手の出方によってさまざまな引き出しがあって、どのような手にも対抗できることが期待される。しかし、今大会では必ずしもそうならなかった。これもスタイルの多様化によるものではないかと考えている。
私はあらゆる団体球技が好きで、それらを見てはフットサルのヒントになることはないかと考えている。無論、サッカーも同じような視点で見ることが多い。ただし、サッカーとフットサルの関係は、どちらかと言えば、サッカーの方がフットサルの概念を転用していることが多い。それを再確認するような場面をこの大会では多く見られた。フットサルをプレーして育ったブラジルのネイマールなどは、フットサルで培ったアクションを活用したプレーが特に光っていた。分かりやすい例では、ボールを受けて縦パスを入れ、そのままゴール方向に走り込んでいくシーンだ。これはフットサルのピヴォ当てに似ている。また、味方とスイッチし、弧を描いて流れていくような動きもフットサルからきている。それらのプレーを見て、あらためてサッカーとフットサルの関連性を感じた。

準優勝したクロアチア(写真)やベルギーなど上位の常連ではないチームの躍進が目を引いたロシア大会。
個性的なスタイルで紙一重の勝負を繰り広げた

フットサルとも共通する日本の明確な課題

サムライブルーの戦いぶりも素晴らしかった。初戦のコロンビア戦でのPK獲得、それを決めてからの展開は見事で、それが躍進の原動力になった。いい感触でスタートしてもそこで終わってしまうのは往々にしてあること。しかし、日本はその流れを維持して最終的にグループステージを突破することができた。
ラウンド16で敗れはしたものの、各試合を分析すると多くの収穫と課題があったと感じる。日本はポテンシャルの高い選手が多く、そのタレントがさらに力を発揮することでもっと大きな成功をもたらすことができる。そんな期待が持てるような大会だった。
サムライブルーの試合を見ていて、フットサル日本代表との類似性を感じることも多かった。これは偶然ではなく、日本人が育ってきた環境の文化が大きく影響しているからだ。そこに着目して、フットサルの指導者講習会でも日本サッカーにおける課題について議論している。そこで、サッカーとフットサルに共通する明確な課題が浮き上がってきた。
攻撃においては「決定力」「一対一の勝負」「創造性」の三つが挙げられる。「決定力」「一対一の勝負」は、日本サッカーの長年の課題だと言われている。この二つの要素の向上は不可欠だが、チームで用意していたゲームプランを遂行してもゴールを奪うことができないことがある。そんなときに必要なのが「創造性」。偶発的なプレーではなく、技術や経験に基づいたアイデアが瞬時に出せるようにならなくては、世界と対等に、または上回ることは困難だろう。守備面は「デュエル」だ。これも近年、言われるようになったものだが、もっと勝ち気に相手とぶつかり合えるようにならなくてはいけない。
これらの課題は個人にフォーカスしたものだが、実戦に近い状況で練習を繰り返すことでプレーの精度や局面の打開力を向上させることができる。われわれ指導者のミッションは、これまでのトレーニングモデルを変えて、課題に対して明確なアプローチをしていくこと。フットサル日本代表でも参考にして、チームのさらなる成長を目指していきたい。

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