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アジアのピッチから ~JFA公認海外派遣指導者通信~ 第16回 柳楽雅幸 チャイニーズ・タイペイで女子代表監督

2016年05月11日

アジアのピッチから ~JFA公認海外派遣指導者通信~ 第16回 柳楽雅幸 チャイニーズ・タイペイで女子代表監督

アジアの各国で活躍する指導者達の声を伝える「アジアのピッチから」。第16回は、チャイニーズ・タイペイで女子代表監督を務める柳楽雅幸氏のレポートです。

チャイニーズ・タイペイでの生活

早いもので、チャイニーズ・タイペイでの活動も2年半が経過しました。こちらでの生活にストレスはほとんどありません。台湾の人々は日本人に対してとても親切で、道に迷っていると中国語で話しかけられます。言葉はすべて分からなくても、最後はジェスチャーや筆談で何とかなるのです(笑)。またこちらでは地下鉄に乗る際にもきちんと列を作り、順番に乗車します。混んでいても優先席には座らず、お年寄りや妊婦、障害者に席を譲ることが当たり前の光景です。

現在の活動

台灣政府と中華民国足球協会(台湾サッカー協会、以下「CTFA」)の協力の元、代表キャンプを毎週月~木曜日のサイクルで実施しています。通常は、大会の一週間前に集合して合宿を行うことが多いようですが、クラブチームや大学の協力と理解を得て、月平均15~20日間も実施出来ています。

選手は社会人と学生が中心です。代表合宿が終了する木曜日の午後からチームに戻り、所属クラブでの練習を経て週末のリーグ戦(ムーランリーグ)に臨みます。

我々代表チームのスタッフは毎週のリーグ戦視察はもちろん、現在は、11月に行われる東アジアカップ2次予選の準備のため、来月予定されている東アジアカップ1次予選の視察も行っています。来年2017年に地元台湾で開催されるユニバーシアード大会も並行して視野に入れ、代表の強化に努めています。海外での合宿も年2回行っており、今月は日本キャンプを静岡県時之栖で行う予定です。

チャイニーズ・タイペイが目指すサッカー

『躍動感のあるチーム 見ている人に勇気と感動を与えられるチーム』が目標です。攻守において90分間ハードワークを続け、その中でボールを失わないよう考えて行うポゼッション能力の習得、そして攻撃の優先順位を持ったダイレクトプレーの共存を目指しています。お手本となるチームは、やはり 『なでしこジャパン』 。選手の間では日本が人気で、なでしこリーグでプレーしている選手が2名います。日本でプレーすることはステータスになっているようです。

現在の課題

さらに上を目指すには、個々のスキルアップが必要です。本来であればアンダーカテゴリーで習得していなければならないことが出来ていない選手が多いのです。代表の強化はもちろんですが、ユース年代の強化と指導者養成も並行して行う必要があります。女子サッカーを取り巻く環境として、アンダーカテゴリーの受け皿拡大と選手人口が増えるようCTFAを中心に取り組んでいます。ユース大会の視察を通じて、チームスタッフとミーティングを行い、この年代では勝利主義を優先しすぎないように話をすることもあります。CTFAは指導者の養成にも注力しており、指導者のリフレッシュ研修や海外コーチを招聘してのアカデミー研修会も行っています。

コミュニケーションの重要性

関係各所との密なコミュニケーション、そして、相手へのリスペクトは忘れてはいけません。その一方、自分の考えをしっかりと伝えることも重要です。上手く伝わらずに誤解を招くこともあるので、重要な話をする時は全ての関係者が揃っている時を選んで行うよう心がけています。まずはその国の文化を知り、考え方の違いを理解すること。日本では当たり前だと思っていても、海外ではそうでない場面が多くあります。同じ目線に立って一緒に考えることで、相手に受け入れてもらいやすくなるのではないでしょうか。

おわりに

サッカーは発展中の部分もありますが、台湾は内に秘めた力を持っています。少しでも台湾サッカーの発展に寄与できるように日々努力を続けていきます。親日の台湾は、心が暖かい人々と美味しい料理の宝庫です。みなさんも是非台湾に触れてみて下さい。お待ちしています。

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