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【ホットピ!~HotTopic~】2025年度Proライセンスコーチ養成講習会受講 槙野智章さんインタビュー
2025年10月24日

新たなスタイルの新しい監督像をつくっていきたい
2022シーズンに現役を引退して以降、指導者の道を歩み始めた槙野智章さん。今年度はProライセンスコーチ養成講習会に参加し、指導者としての学びを深めています。指導者の歩みや講習会の印象、今後の目標などについて聞きました。
※このインタビューは2025年9月16日に実施しました。
早くに志した指導者の道 現役引退後すぐに監督に
――現役時代から指導者への道を思い描いていたのでしょうか。
槙野 サンフレッチェ広島時代にミハイロ・ペトロヴィッチ監督の練習で自分のプレースタイルやプレーの幅が変化したので、それを次は自分が選手に伝えることができたらいいなと思い、練習ノートを取り始めました。その頃から指導者の道をずっと考えていて、浦和レッズ所属時にCライセンス(旧、C級)から取得していきました。
――現役を引退された直後の2023年に品川CC(カルチャークラブ)セカンドで監督業を始められました。選手から指導者に切り替わる上での難しさはあったのでしょうか。
槙野 難しかったですね。でも、できない自分がうれしくもありました。正直、何の戸惑いもなくできるだろうと思っていましたし、それなりの準備はしていました。ただ、実際にタッチラインの外に立った時に何も見えなくなったのを覚えていますし、「指導者ってこんな難しいんだ、奥が深いんだ」というのを強く感じました。
――何もできなかった状況からどのように克服していったのでしょうか。
槙野 場数を踏むことですね。選手目線ではなく、指導者目線で選手たちや試合全体を見続けました。そしてどうすれば見えるようになるか、どこを見ればいいかもすごく気にするようにしました。
ペトロヴィッチ監督から指導を受けた広島時代。
槙野さんは「この練習は面白いな、うまくなったな、という感覚があった」と振り返る
「毎日が勉強」 指導者のノウハウを積み上げる
――現在はProライセンスコーチ養成講習会に参加されています。
槙野 現役を引退してから3年以内にProライセンスを取りたいと思っていました。引退してすぐにAジェネラルライセンスコースを受講し、2年目にトップチームの監督として1年間シーズンを戦う経験を積んだ上でProライセンスにチャレンジするという流れをイメージしていたので、それに合致する形で順調にここまで来ています。
――講習会ではどのようなことを得られていますか。
槙野 毎日が勉強です。例えば、午前はピッチに出て実技や指導実践で学び、午後は座学。サッカーに精通する方だけでなく、サッカー以外の分野の方たちもたくさん講義をしてくれますし、自分の知識を広げ、深めることができています。指導者としてのノウハウを養えるのは良いところだと実感しています。
――特に印象に残っているカリキュラムはありますか。
槙野 指導実践では、受講生それぞれがトレーニングメニューを考え、それをみんなでやってみるのですが、僕らの発案でそのやり方が変わったんですよ。今までは「次のセッションはあなた、明日はあなた」という感じで順番が決められていましたが、今回は受講生同士で話をしたり、トレーニングを見たりして、「この人のメニューをもっと見てみたい、指導からいろいろと吸収したい」という人を選んで投票する形になりました。選んでもらえるようみんなが工夫を凝らしますし、めちゃくちゃ刺激になりますね。
――講習会を受けて、指導者としての視点や考え方が変わった部分は?
槙野 強いチーム、勝てるチームをつくるためのチームビルディングの部分、特にリレーションという、コーチやGKコーチ、フィジカルコーチといったスタッフにどのような役割を与えるべきかについては大いに学ばせてもらっています。以前は、トレーニングからミーティングに至るまで何でも全て監督が担当するのが良いと思っていましたが、役割分担をして、その分野を任せても良いんだと。現在、監督を務める品川CC横浜でも学んだことをすぐに生かしています。
投票式の指導実践では「票をいただき、ポゼッションというテーマで取り組んだ」と槙野さん。
「常に考えて、周りを見て判断良くプレーするという、難しさを感じながらも楽しんでやることが
できるトレーニングを行った」という
学びが多い指導者養成講習会 目標に向かって突き進む
――講習会に参加する前に描いていたイメージと異なるところはありますか。
槙野 Proライセンスを取得した歴代の方々からは、「かなり大変だった」「受講生同士で意見が食い違って対立する」という話を聞いていたのですが、全くそんなことはなくて。一緒に受講している20人は最高のメンバーなんですよ。元プロ選手の方も多いですから、互いが現役時代に対戦して良さも知っていますし、それぞれ経験値があります。自分の持っていない知識を持っている方から取り入れる、意見が対立してもすり合わせていくなど、多くのことを吸収できています。
――講師のチューターの方の印象はいかがですか。
槙野 めちゃくちゃ良いです。例えば、僕たちの出した結論に「それは間違いだ」と言うのではなく、「こういう道もあるんじゃないか」と他のアイデアを出して導いてくれるので、いつも前向きに取り組むことができています。また、一緒に成長してくれている感じもします。講義や実技以外の時間も、一緒にご飯を食べたり、歓談したりして、受講生にとってはとてもありがたい存在です。
2025年度のProライセンスコーチ養成講習会のメンバーと。槙野さんは「戦術よりも人を動かす力や
マネジメントが大事だと思うし、監督はオーケストラの指揮者に似ていると思う」と話す
――ライセンスを取得することのメリットをどう感じていますか。
槙野 学びが多いと思います。サッカーや指導は正解がないですが、ライセンスコースではいろいろな引き出しを持つ方が集まるので、自分のサッカー観が変わったり、知らないことを教えてもらえたりできます。1日参加しただけでもすごくパワーアップした感覚があるんですよ。それをProライセンスでは1年間、同じメンバーで、寝食も共にしながら同じ時間を過ごしていく。とにかく成長につながることがたくさんある場所だと思います。
――Proライセンスは、将来的にはヨーロッパサッカー連盟(UEFA)のプロライセンスとの互換も検討されています。
槙野 ヨーロッパでの指導者のキャリアには興味がありますね。指導者としてチャレンジしたいという思いは、今夏にドイツの1.FCケルンへ海外研修に行って強くなりました。ただ、そのためには自分がどれだけできるのかをまず日本で見せる必要があると思っています。
――今後の目標を教えてください。
槙野 自分にしかないものを出して、新たなスタイルの新しい監督像をつくっていきたいです。そしてJクラブの監督、SAMURAI BLUE(日本代表)の監督を目指していきたいと思います。
「指導者としてここまで順調どころか、ハイペース過ぎるくらいで来ている(笑)。
ここからは段階を踏んで結果を残していきたい」と槙野さん
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