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アジアのピッチから~JFA公認海外派遣指導者通信~ 第24回 金子隆之 中国・江蘇省 テクニカルダイレクター

2017年01月25日

アジアのピッチから~JFA公認海外派遣指導者通信~ 第24回 金子隆之 中国・江蘇省 テクニカルダイレクター

アジアの各国で活躍する指導者達の声を伝える「アジアのピッチから」。第24回は、中国・江蘇省でテクニカル・ダイレクターを務める金子隆之氏のレポートです。

女子代表の指導からテクニカル・ダイレクターへ

早いものでここ中国に来て2年半が経ちました。赴任当初はU-16江蘇省女子ユースを指導し、その後U-18女子ユースの指導を兼任していました。訪中1年半後の昨年1月からは、江蘇省のテクニカル・ダイレクターとして、育成チーフ及び指導者養成チーフを兼任して活動しています。ここ中国では、育成年代でも結果が求められ、監督の交代は頻繁に行われます。普段の生活でも同じことですが、過程よりも常に目の前の結果が重視されるため、この年代においては将来に向けた長期目標設定の重要さを多くの人達に理解してもらう必要があります。指導者養成でも、理論・理念より実際のトレーニング方法の収集に目が向きがちですが、徐々に世界基準で考え始める指導者も増え、確固たる理念に基づいて各種トレーニングが構築されていることが理解されはじめています。また、習国家主席の後押しもあり、育成において学校サッカーの充実や指導者の確保と、育成に力を入れる動きも活発になってきました。中国では、トップダウンで一気に動き出す傾向もあるため、これが追い風となり、私が提唱していた省内独自の育成システムや指導者養成事業が動き出しています。今後の中国サッカーも楽しみです。

中国語でのコミュニケーション

まだまだ片言ではありますが、単語を並べて中国語で意思疎通を図っています。その甲斐もあり、協会や体育局の職員、省内の主だった指導者と連携が取れるようになってきました。こちらでの指導を始めて2年半、面白いもので、相手の懐に飛び込み理念を片言でも伝え続けていると先方の態度が徐々に好意的に変化し、協力者が増えだしたことは中国での人付き合いの基本なのかと感じます。時間はかかりましたが、何度も顔を合わせて話し合うことで、人々との繋がりは国籍に関係なく構築できるのだと再認識しました。

ある日のタクシーで、運転手が道を間違え通常の3倍近い料金になったことがありました。「私のつたない中国語のせいもあるので気にしないでくれ」とそのまま支払おうとすると、運転手も「間違えた私も悪いから通常料金でいい」と言ってくれたのです。あいだをとって、1.5倍の料金で折り合いましたが、中国ではまず考えられない出来事でした。「次に出かける時も呼んでくれればいつでも来るよ」とまで言ってくれ、実際その後もその運転手を指名すると、これまた考えられないことに端数を負けてくれることもあります。私が日本からのお土産を渡したり、彼から中国茶をいただいたりと個人的な付き合いが今も続いているのは嬉しいことです。一度打ち解けると親身になってくれる、そんな中国での人付き合いを知るきっかけにもなりました。

中国サッカーの現状

日本でも、そして世界的にも、中国資本による海外クラブやスター選手の買収・獲得が報道されています。ここ江蘇省にある江蘇蘇寧(※)も、オーナー会社がインテル(イタリア)を買収し、クラブ全体でイタリアとの連携を深めようとしています。中国国内の報道では、「トップチームでの活躍は外国選手に頼り、自国選手の向上が見られず、代表に反映されていない」「トップ選手を強化しても成果はわずかなので、育成にこそ力を注ぐべき」という意見もあるようです。広州恒大(※)のように、50面のグランドと宿舎、小学校から高校までの学校を要し、レアルマドリード(スペイン)との提携で100人を超えるスペイン人コーチを配し、2,800人もの選手を抱える育成施設は世界でも類を見ません。前述の習国家主席による学校サッカーの充実のために、ここ江蘇省でもようやく育成に目を向け始めたため、育成年代の指導者確保が重要課題となっています。国家ぐるみの育成強化は、今後の中国サッカーを変える大きな力となるでしょう。
※中国スーパーリーグのプロクラブ

中国で指導するために必要なこと

この国では、多くの関係者が日本サッカーをリスペクトしてくれています。私の知り合いの日本人指導者も数人がここ中国で活躍しています。JFAの指導者養成で説かれている理念、質の追求を実践すれば、どなたでも指導は可能です。私が努力していることと言えば、指導現場では、要求すべきことは可能な限り中国語で伝えることです。通訳を介すると、どうしても伝達のタイムラグが発生するため、予測判断も重要です。そして、「Quick」「Simple」「To the Point」でのコーチングで選手の判断を促し、発見に導くという、当たり前のことを当たり前に行うことを心がけています。生活においては、文化や体制の違いは当たり前、日本の常識では考えられないことが存在するという認識を持ち、中国の方が示してくれるのと同様に、こちらも彼らをリスペクトし、日本人としてのアイデンティティを持って接すれば、どこでも指導することができると思います。

今後の目標

日本での旧正月(中国の春節)後から本格的に一年が始まります。今年は、学校サッカーへのテコ入れとして、中国スタッフとともに、指導者養成のカリキュラム策定、インストラクターの養成、特にU-12年代の各市のトレセンの充実、コーチ養成に全力を注ぎます。すでに、体育局、協会のバックアップも決まり、残り2年間の任期で形を作ることが今後の目標です。

JFA公認海外派遣指導者

金子 隆之 中国・江蘇省 技術委員長

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