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【国立の名シーン】両チームのサポーターの熱量がつくり出した張り詰めた空気(2000年12月9日/Jリーグチャンピオンシップ第2戦)

2019年12月26日

【国立の名シーン】両チームのサポーターの熱量がつくり出した張り詰めた空気(2000年12月9日/Jリーグチャンピオンシップ第2戦)

天皇杯 JFA 第99回全日本サッカー選手権大会の決勝が2020年1月1日(水・祝)に、新しく生まれ変わった国立競技場で開催されます。ここでは元サッカー選手や記者といったサッカーファミリーの皆さんに「私が思う国立の名シーン」を振り返ってもらいます。

2000年12月9日/Jリーグサントリーチャンピオンシップ第2戦 鹿島アントラーズ vs 横浜F・マリノス
両チームのサポーターの熱量がつくり出した張り詰めた空気
中田浩二(鹿島アントラーズC.R.O)

国立競技場は小さい頃からの憧れの場所でした。高校生のときは、そこを目指して(高校選手権の)決勝までたどり着きましたが、優勝できなかったので、あの場所で喜ぶ自分の姿を想像していたところはありますね。国立競技場ではどの試合にもドラマがありましたけど、どれか一つということなら2000年のJリーグサントリーチャンピオンシップ第2戦を挙げたいと思います。

00年は自分がアントラーズで試合に出始めた年でした。1stステージはなかなか結果が出なかったのですが、それでも監督のトニーニョ・セレーゾは我慢して使い続けてくれました。期待に応えたい気持ちは強かったですね。セレーゾは練習量の多い監督で、若手だけの練習というよりは全体の練習も多く2時間、3時間やるのは当たり前でした。でも、自分たちも練習するのは全然苦ではありませんでした。その成果もあって、2ndステージでは勝てるようになり、そのままの勢いでチャンピオンシップまで進んでいきました。セレーゾに僕も含めた若い選手が鍛えられ、チームとしての成長をものすごい感じたし、一体となって勝っていったことは自信と経験になりました。

チャンピオンシップ第1戦は0-0で終わったので、この第2戦で年間のチャンピオンが決まる状況でした。スタジアムはすごい雰囲気だったのを覚えています。1998年にもチャンピオンシップは経験していたのですが、ピッチの外で見るのと中でプレーするのとでは全く違いました。それまでも日本代表として国立でプレーすることはありましたが、代表の試合になればスタンドはほぼ真っ青になり、日本代表のサポーターが後押ししてくれます。でも、チャンピオンシップはそれが半々になります。お互いのサポーターがいろんな思いを抱えながら集まっているので、スタジアムの雰囲気は本当に張り詰めたような空気でした。その満員の国立の中で試合をするのは気持ちがいい反面、とてつもないプレッシャーがかかるのを感じました。

試合では、中村俊輔選手にいかにボールを持たせないようにするか、ボールを持たれたら縦パスを出させないようにするかを、ボランチで組んでいた熊谷浩二さんと話し合いました。横浜FMにはほかにも、松田直樹さん、三浦淳宏さん、川口能活さんら代表で一緒にやっていた選手がたくさんいました。試合は3-0と差がつきましたけど、どちらのチームも力があり拮抗した試合だったと思います。まずは守備から入った中で鈴木隆行さんが先に点を取ってくれたのが大きかったですし、2点目はセットプレーの流れから秋田豊さんのパスに飛び出した名良橋晃さんが胸トラップでボレーシュートを決めるというものでした。たぶん、お二人とも「もう1回やれ」と言われてもできないようなゴールだったと思いますし、国立でのチャンピオンシップという舞台だからこそのプレーだったと思います。

新しくなった国立競技場でも、これからいろんなドラマが生まれると思います。元日にそこでプレーできるチャンスがある選手はうらやましいですし、これからも国立でいろんな思い出をつくっていってほしいですね。

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