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「サッカーをやっていてよかったと思えるように」山下杏也加選手(日テレ・東京ヴェルディベレーザ)インタビュー 第29回全日本高等学校女子サッカー選手権大会

2020年12月24日

「サッカーをやっていてよかったと思えるように」山下杏也加選手(日テレ・東京ヴェルディベレーザ)インタビュー 第29回全日本高等学校女子サッカー選手権大会

第29回全日本高等学校女子サッカー選手権大会が2021年1月3日(日)に開幕します。ここでは大会出場経験を持つ、日テレ・東京ヴェルディベレーザのGK山下杏也加選手に登場いただき、高校時代についてやGK転向の秘話について聞きました。

オンライン取材日:2020年11月19日

――山下選手は2011年に村田女子高校に入学し、その年の秋にFWからGKに転向しました。その経緯を教えてください。

山下 自分の代にたまたまGKがいなかったことと、自分自身FWとしてメンバー入りするのが難しいこと、長距離を走ることが苦手だったことが重なって、有田和成GKコーチから「GKをやってみないか」と薦めていただきました。当時は高校の3年間でサッカーをやめる予定だったので、最初はそこまで本気ではなかったというのが本音です。

――すぐに頭角を現していったのでしょうか。

山下 有田コーチからは週に3回ぐらい指導を受けたんですが、学ぶことは嫌いではなかったですし、コーチが褒め上手だったので、自然に成長していきました。GKとして出場した高2の新人戦では準決勝、決勝とPK戦になったんですけど、そこで相手のキックを止めて優勝し、自分の居場所を見つけられて、意識的にも変わっていきました。

――その頃は日テレ・東京ヴェルディベレーザで正GKになり、なでしこジャパンにも名を連ねるという今の姿は想像していましたか?

山下 当時は、サッカーは高校でやめて一般企業で働く未来予想図を描いていました。でも、高校2年の1月にスーパー少女プロジェクトというGK育成のトレーニングキャンプに呼んでいただいて、そのキャンプで一緒だったスタンボー華(現INAC神戸レオネッサ)や浅野菜摘(現ちふれASエルフェン埼玉)からいろいろな刺激を受けたんですね。その次にU-19日本女子代表に呼んでいただいて、そこから本格的に「違う道を目指してもいいのかな」と思い始めました。GKに転向していなかったら全く違う人生だったと思います。

――村田女子は山下選手が1年生の時に第20回全日本高等学校女子サッカー選手権大会に、2年生の時には第21回大会に出場しています。

山下 1年の時はちょうどGKに転向するかどうかという話が出始めた頃ですね。ベンチの近くでメガホンを持って「キーパーってカッコいいな」と思いながら応援していました。

――2年時の第21回大会にはGKとして出場し、1回戦で神村学園に1-6で敗れました。

山下 あまり覚えていないんですよね。緊張していましたし、負けたら3年生の先輩が引退になってしまうのもありましたし、JFAやサッカー関係者の方が見に来るというのを試合前に聞いていたので、そのプレッシャーもありました。結果的には、力の差は間違いなくありましたが、防げた失点もあったのかなと思っています。

――大会前はどのような心境でしたか?

山下 サッカーノートに「選手権まであと●日」と書いていました。毎日書いていたら大会への思いは強くなりますよね。一方で、OGに丸山桂里奈さんがいて好成績を残しています(2000年度の第9回大会で3位)し、その伝統をすごく大事にしていて、結果を出さなければならないという思いもありました。がむしゃらだったというか、ちょっと平常心ではなかったです(笑)。

――高校の3年間で学んだことはありますか?

山下 当時は私がロングパスをFWに当てて、そこからカウンターというのが一つの攻撃方法だったんですが、それを続けるうちに筋肉に負担がかかり、肉離れになってしまいました。ちゃんと治療しなかったことで長引いてしまい、結果的に大事な試合でマイナスに響いてしまったことはすごく後悔しています。そこから学んで、今はメディカルスタッフやチームドクターに対して、自分が無理だと思ったらしっかり意思表示するようにしています。何が一番大事なのかを考えなければならないということを高校の3年間で学びました。

――来年は東京オリンピックが開催される予定ですし、WEリーグも開幕します。山下選手の目標を教えてください。

山下 東京オリンピックでメダルを獲得したいです。もう一度女子サッカーを盛り上げ、私たちのプレーを見てWEリーグに足を運んでいただけるような結果を求めていきたいです。個人的には、来年26歳になるので、もう少しピッチ外のことにも力を入れていきたいなと思います。

――今年は新型コロナウイルスの流行で高校生たちも難しい状況を経験しました。その中で集大成として今大会に臨む選手たちにメッセージをお願いします。

山下 私たちも練習ができない日が続いて、初めて「当たり前ではないんだな」ということに気付かされました。いろいろな人の支えがあってサッカーができていることを忘れてはいけないですし、何が起こるか分からない、というのはピッチ上も同じだと思います。まずは試合のために何ができるのかを考えて、「サッカーやっていてよかったな」と思えるよう楽しんでください。

第29回全日本高等学校女子サッカー選手権大会

大会期間:2021年1月3日(日)~2021年1月10日(日)
大会会場:三木総合防災公園(兵庫県三木市)、五色台運動公園(兵庫県洲本市)、いぶきの森球技場(兵庫県神戸市)、ノエビアスタジアム神戸(兵庫県神戸市)

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