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もっと、徹底して、日常的に! ~いつも心にリスペクト Vol.150~
2025年11月25日

今年も、9月に「JFAリスペクト・フェアプレーデイズ」が開催されました。2014年にスタートしたこのムーブメント。以来毎年9月に開催され、今年で第12回になりました。
主要な試合で両チームキャプテンによる「リスペクト・フェアプレー宣言」が実施されたほか、試合会場でのリスペクト旗の掲揚などさまざまな取り組みが行われ、9月13日には東京・文京区のサッカー文化創造拠点「blue-ing!」とオンラインで「リスペクトシンポジウム」が開催されてたくさんの人が参加しました。
私が取材したJリーグの試合でも、両チームのキャプテンによる宣誓がありました。JリーグYBCルヴァンカップの準々決勝第2戦、「Uvanceとどろきスタジアム」で行われた川崎フロンターレ対浦和レッズ。浦和のキャプテンはノルウェー出身のマリウス・ホイブラーテン選手。きれいな英語で「暴力や差別は認めない」と力強くスピーチしたのが印象的でした。
埼玉スタジアムでの第1戦を1-1で終えた後の第2戦。両チームとも準決勝進出に向けて魂を傾けたプレーを展開し、見応えのある試合になりました。90分間を2-2の同点で終えた後、延長で川崎FがPKを得て、ようやく決着がつくという展開でした。
試合の激しさは、川崎Fが6人、浦和は脳振盪による交代も含めて7人の交代選手を使ったことで想像がつくでしょう。その中でも、足をつらせて倒れた選手を相手チーム選手が伸ばしてあげるなど、美しいシーンがちりばめられていました。倒れた川崎Fの選手を見て、浦和の石原広教選手が川崎Fのベンチ前に走って水を受け取り、倒れたままの選手に飲ませたシーンは、石原選手の人柄を感じさせるほほ笑ましいものでした。
ただ「もったいないな」と思うのは、試合前のホイブラーテン選手と川崎Fの脇坂泰斗選手の「リスペクト・フェアプレー宣言」がきちんとファン・サポーター、そしてテレビでこの試合を見ていた人に伝わったかどうかということです。二人の宣誓内容を場内の電光掲示板に示して読んでもらったらどうか。印刷して全入場者に配布したらどうか。あるいは、Jリーグのホームページやクラブのオフィシャルサイトの試合のニュースに加えたらどうかと考えました。
キャプテンによる宣誓はさまざまな試合で行われたはずですが、その言葉がどこにも残されていないのはどうしたわけでしょうか。その宣誓はとても大事なメッセージを含んでいます。さまざまな形で残し、一人でも多くの人に知ってもらうのはとても意義のあることです。クラブのオフィシャルサイトで、自チームのキャプテンの宣誓を、見やすい形で、シーズンいっぱい見られるようにしたらどうでしょうか。
「リスペクト・フェアプレー」は、20世紀の間に世界で最も人気あるスポーツとなったサッカーが、21世紀も人々の関心や共感を得続けられるための最も重要な要素です。一部の人だけでなく、プロ選手も監督たちもクラブのスタッフも、アマチュアの選手や指導者たちも、そしてすべてのファン・サポーターもしっかり理解し、参加しなければなりません。
であれば、「リスペクト・フェアプレーデイズ」の1カ月間、あるいはキャプテンたちが宣誓する特定の試合だけでなく、年間を通じて日常的に、そして徹底してメッセージを流し、訴え続けなければならないと思うのです。
Jリーグは全試合前にリスペクト・フェアプレーの映像を流しています。とても貴重な努力です。しかしそこで立ち止まってはいけません。少し工夫すれば、費用をかけずに、「もっと、徹底して、日常的に」リスペクト・フェアプレーのメッセージを伝えていくことができるのではないでしょうか。
Jリーグにとどまらず、サッカーに関係する全ての人が「リスペクト」とは何か、「フェアプレー」とは何かをしっかりと考え、考えたことを表現し、伝え、広めていくことが、サッカーという競技と、その競技を愛する私たちの人生を豊かにしてくれると思うのです。
寄稿:大住良之(サッカージャーナリスト)
※このコラムは、公益財団法人日本サッカー協会機関誌『JFAnews』2025年10月号より転載しています。
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