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[特集]部活動の実情とこれから 池田洋二 JFA学校部活動検討委員会 委員長インタビュー 前編

2020年07月28日

[特集]部活動の実情とこれから 池田洋二 JFA学校部活動検討委員会 委員長インタビュー 前編

古くから学校教育の中に取り込まれている部活動。日本においてその重要度は非常に高い。一方で、少子化や教員の働き方改革、指導者不足など学校部活動における課題は複雑化・多様化している。JFAは、これらの課題にどう向き合い、解決策を講じているのか。学校部活動検討委員会の活動を振り返るとともに、これからの部活動について池田洋二委員長に聞く。

インタビュー日:2020年3月14日
※本記事はJFAnews2020年4月号に掲載されたものです
※取材は2m以上の距離を確保し、インタビュアーはマスクを着用して実施

部活動を頑張りたい教員が続けられる環境を

――まずは中学、高校の運動部活動における現状について教えてください。

池田 2018年3月20日にスポーツ庁から「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」が出されました。以来、公立中学校では平日と土日でそれぞれ1日以上の休息日を設け、平日の練習は長くとも2時間程度、土日は3時間程度で活動するというガイドラインに沿う形で部活動が行われています。

今年4月からは「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」が適用されます。こちらは文部科学省から出されているもので、公立の高校もその対象になり、教員の超過勤務時間に月45時間以内、年360時間以内という上限が設けられます。

私が暮らしている鳥取県では、時間外勤務で部活動が占める割合は、公立中学校で月に約37%、公立高校では約58%でした。この時間外勤務には教材研究などの業務も含まれますが、中学校では工夫をすればこれまで通り部活動を行えるでしょう。しかし、高校は平均で45時間を超えているのでそうとう難しい。部活動を全くしていない高校もあれば、月に80時間を超える学校もありますからね。鳥取県という人口の少ない県でこの数字ということは他の都道府県ではもっと多い可能性があります。

今の段階では現場が大変になることが実感できていませんし、危機感があまりないと思います。法律が変わって半年も経てば、課題はたくさん出てくるでしょう。そのときにはすでに遅いと考え、JFAは学校部活動検討委員会でさまざまな課題と向き合ってきました。

――委員会では主にどのようなことに取り組んだのですか。

池田 18年に発足した当初は課題がたくさんありました。その中で、まずは「兼職兼業」という形で業務時間外でも希望する職員が指導できるような方策を考え、嘆願書を作成しました。

――どのような内容でしょうか。

池田 文部科学省が提示する時間を基準にすると、学校は部活動で生徒の競技力向上や自己実現を目指すことが難しくなります。嘆願書には外部指導者が派遣できるようになるまでは、教員が活動できるようにしてほしい。そういう内容を記しました。

共働きの家庭が増え、これまで家庭で担ってきたしつけや教育が学校に委ねられるようになってきました。教員は業務時間外でも生徒指導や登下校時の安全指導などを懸命に行ってきましたが、教員の長時間労働を解消するために、急に「それは業務ではない」と言われても、学校は子どもたちを家庭や地域に戻すことができません。それは部活動も同じです。部活動を社会体育に移行する方向で対策が講じられていますが、現状ではその仕組みが整っていません。だからせめて社会がバックアップできるまでの間、今やっている形も継続できるようにしてほしいといった内容を嘆願書に盛り込みました。「教員の長時間労働の解消」も「教育の一環としての部活動」も両方必要です。大切なのは子どもたちを犠牲にしない仕組みだと思います。

――その他の取り組みについてはいかがでしょうか。

池田 もう一つは少人数の部活動存続のための「合同部活動」への取り組みです。合同チームの大会参加の規定や指導者の派遣システムの見直しは、検討委員会での最初の議題でした。大会参加については、JFAと中体連、高体連のルールが多少異なる部分がありました。1チームに11人以上いる場合は合同チームとして認められませんでしたが、少しでも大会に参加できる子どもを増やすためにそのルールを見直し、11人以上のチームとの合同を認めて都道府県大会への出場を可能にしました。

その他にも大会の見直しや暑熱対策、指導者養成も議題に挙がり、解決に向けて取り組んでいます。外部指導者のマッチングについては、JFAスクエアを活用する方向です。まずは学校でIDを取ってもらい、部活動や合同チームが指導者を見つけられるようにシステムを改修します。

――2年間の活動の手応えをお聞かせください。

池田 皆さんにいろいろな意見を出していただき、この2年間で目標の8~9割は達成されたと思います。いま取り残しているのは、嘆願書。文科省、厚生労働省に持っていくために今後どのように進めていくかを決めていきます。

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