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vol.012「バヤル・ル・ラ~! モンゴルでのリスペクト」

2012年11月06日

JFA常務理事 松崎康弘

源義経が平泉の戦いで敗れた後、蝦夷の地からモンゴルに渡って、チンギスハンになり、大モンゴル帝国を築いた。それは本当かと聞いたら、中国からだったり、色々な国から武将が来てチンギスハンになったという話はごろごろしているとの答。雄大な草原のモンゴルを馬で駆け巡る牛若丸の姿は陰ってしまったが、モンゴルは一度行ってみたいと思っていた国。
高度成長期。開発、開発のウランバートル。フットサル審判研修のためにやって来た。FIFAのゴールプロジェクトでモンゴルサッカー連盟がフットサルスタジアムを作って、そこでの研修だ。

ジャーナリストの森本高史さんは、私財を投じて、“FCデレン墨田”という少年のチームをモンゴルで運営している。海外遠征にも連れて行ったり、その出費は決して少なくない(墨田は、彼の出身地の墨田)。資金集めに大変だと聞く。
研修開講の前日、時間的余裕があった。“折角だから、朝の練習を見に来てください”と、森本さん。ふたつ返事で早起き。日本だったら40年ほど前の舗装かな?そんな道路を車で30分ほど走ったところの小学校に出向いた。
素晴らしい人工芝のグランドだ。40~50人ほどの子供たちが、それぞれお気に入りのユニフォームに身を包んでいる子もいて、明海大学から寄付されたボールで遊んでいる(大学連盟のボールに“明海大”とマジックで書いてある)。

練習前の選手整列。いつものように今日の練習の指示が行われる。そうしたら、そこに“すみません、みんなにリスペクトの話をしてください”とのリクエスト。モンゴルの人たちは親切心に溢れる。あえてとは思ったが、選手たちの前に立った。

最初に“リスペクト”と言う言葉を知っていますかと質問をした。即座に“リスペクトは、尊重という意味です”との答が返ってきた。“凄い、理解している”と思った。その言葉を引用しながら、いつもながらの“大切に思うこと”の大切さを話した。
“一緒にプレーする仲間を大切にする。審判もそうだが、コーチ、監督、そしてお父さん、お母さんに感謝する。みんながいるからこうしてサッカーができる。サッカー場やボールもそうだ。大切に思いやり、感謝する気持ちが大切。相手の選手もそう。抜かれたからと行って後ろからシャツを引っ張ったり、危険なタックルをしてはだめだ。みんなサッカーの仲間。怪我をすれば、一緒にサッカーをする相手はいなくなる。ルールを守らなければ、サッカーが成立しなくなる。” そんな風にも話した。
そして、子供たちからは“バヤル・ル・ラ~.”の言葉をもらった。ありがとうという意味だ。十分に理解してくれたのだろう。
その後、一緒にボールをけった。日本からやってきたおじさんに手を抜くことなく、チャレンジしてくる。
急造コーチともなったが。選手のみんなは話を熱心に聞いて、ちょっと厳しい練習にも真剣に取り組んでいた。リスペクトを感じた。嬉しい。
リスペクトはどこの国でも、どの世代でも同じだ。

ところで、どの国にも必ずある言葉。“ありがとう”。もちろん言い方は異なる。ただ、相手に感謝の意味を伝えるためには、とても重要な言葉だ。態度や行動で感謝を示すことも大切だが、一言、“ありがとう”と添える。
仕事柄、様々な国に行くが、最初に押さえておきたい言葉。“ありがとう”。これもリスペクトの表現。 バヤル・ル・ラ~!

今回、草原に出かけていくことはできなかったが、次の日から行われた5日間の研修でも27人の男女の若いフットサル審判員と充実した時間を過ごし、モンゴルの素晴らしさ、そしてモンゴルの人たちと触れ合いを堪能することができた。(了)

“FCデレン墨田”の子どもたちとの記念撮影(松崎氏は中央最後列)

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