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ハンドシェーク・フォー・ピース ~いつも心にリスペクト Vol.45~

2017年02月17日

ハンドシェーク・フォー・ピース ~いつも心にリスペクト Vol.45~

「開催国枠」で出場した鹿島アントラーズが見事な活躍を見せ、欧州王者レアル・マドリード(スペイン)を追い詰めて準優勝。昨年12月に行われたFIFAクラブワールドカップジャパン2016は日本中を沸かせました。しかしその大会で少し残念なことがありました。

大会の全8試合は日本テレビ系の地上波とBS放送で生中継が行われました。試合のかなり前に放送が始まり、両チームの入場と整列が映し出されると必ず数分間CMが入り、次に映るのはキックオフ直前、選手たちがピッチに散った後の映像でした。日本全国のファンは、試合前の両チームの選手たちが握手を交わすシーンを見ることができなかったのです。

国際サッカー連盟(FIFA)は2013年から「ハンドシェーク・フォー・ピース(平和のための握手)」という運動を続けています。試合前と試合後に全選手が横一列に並び、審判団と相手チームの全選手と順番に握手を交わすのです。この形はすでに日本でも取り入れられ、すべての公式戦で行われています。

「握手」は世界に通じるリスペクトの表現方法です。互いに向き合い、右手を前に出して腰ぐらいの高さで握り合う形が一般的です。しかし握手という習慣が完全に根づいているとは言えない日本では、せっかく試合前に握手する決まりをつくっても、形だけになっているケースが多く見られます。

このコラムでも、ちょうど2年前、2015年の1月号に「正しい握手の仕方」という記事を書きました。ただ形だけ手を出すのではなく、しっかり相手の目を見てほほえみながら握手する―。相手に対するリスペクトの気持ちを伝えるには、こうした正しい握手をしなければなりません。

しかし日本のサッカーの試合では、特にユース以下の年代の試合では、相手の手ばかり見ている選手がとても多いのです。握手しているように見えても、相手の目を見なければそこには「相手」は存在していません。当然、リスペクトを示し合うこともできません。

もしかしたら、そうした「形だけの握手」は日本だけのことではなかったのかもしれません。FIFAは推奨する「握手の仕方」も示しています。

右のひじを曲げ、手を顔に近い高さまで上げて、相手と親指同士を組み合わせて手を握り合うのです。こうすると、自然に目と目が合い、リスペクトの気持ちを表現することができるのです。

以前、ヨーロッパのサッカーを見ていて、「ずいぶん荒っぽい握手をするな」と感じたことがありました。やがてJリーグでもそうした握手をする選手が出てきました。右手を上げて待ち構えられると、どうしても自分も右手を上げてこうした握手にするしかありません。

この握手は、通常の握手より男性的な感じがし、ヨーロッパのプロで流行しているのかと思っていました。しかし昨年秋にヨルダンで行われた17歳以下の女子ワールドカップでも、「少女」と言っていい年代の選手たちがこの握手をしているのを見ました。

こうした「新しい握手」あるいは「FIFA式握手」の意味を教えてくれたのは、日本選手団の団長としてU17女子ワールドカップに参加した今井純子さん(JFA女子委員長)でした。

「この形だと、自然に相手の目を見ることになります。だからFIFAは『ハンドシェーク・フォー・ピース』運動の中でこの握手を推奨しているのです」

いずれにしても、大事なのは相手の目をしっかり見ることだと思います。目を見て相手の存在を認めることが、すなわち「リスペクト」の表現になるからです。

「ハンドシェーク・フォー・ピース」運動は、ノルウェー・サッカー協会とノーベル平和センター(ノルウェー)が発案し、それにFIFAが参加したものです。世界中のサッカープレーヤーが互いの友情やリスペクトを示し、世界中に平和・連係・フェアプレーを広めていこうという運動です。

サッカーの試合前や試合後の相手とのしっかりとした握手が、世界の平和につながるのです。

寄稿:大住良之(サッカージャーナリスト)

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