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悔しい思いを次の飛躍に~【コラム】 田嶋幸三の「フットボールがつなぐもの」vol.9

2018年07月09日

悔しい思いを次の飛躍に~【コラム】 田嶋幸三の「フットボールがつなぐもの」vol.9

日本の力を結集して挑んだ大会

2018 FIFAワールドカップロシアも佳境に入り、世界を熱狂の渦に巻き込んでいます。残念ながら日本の戦いは終わってしまいましたが、今大会は、日本サッカーが最も“世界”に近づいた大会であり、日本の可能性を確信できる大会になったのではないかと思います。

最後までSAMURAI BLUE(日本代表)を信じて応援してくださった多くの皆さま、長年にわたって選手を育ててくださった指導者/チームの皆さま、日本代表を支援していただいているスポンサーなど多くの関係者の皆さまに心から感謝を申し上げたいと思います。

そして、西野朗監督、選手、スタッフたち。お互いを信じ、リスペクトし合い、心を一つにして世界屈指のチームに挑んでくれました。全員の力を結集できたことで、1%の可能性が20%になり、30%になり、戦う毎に強く逞しくなっていきました。監督が交代して短い時間でしたが、逆境を跳ね除け、強い精神力で戦ってくれた選手たちを誇りに思います。

今大会の検証や分析はこれから技術委員会でなされるわけですが、これまで積み上げてきたものを武器に、西野監督が明確な戦術や方向性を示し、チームをまとめ上げてくれました。ヴァイッド・ハリルホジッチ前監督が植え付けてくれた「デュエル」や縦への突破力も随所で見られましたし、日本サッカー界が構築してきた「Japan’s Way」が形となって表れた戦いぶりだったと思います。

あと一歩のところで初のワールドカップ行きを逃したドーハの苦い経験、そして、初出場となったフランス大会以降の5大会で得た経験値、Jリーグ25年の歩み、そして、日本サッカーの土台を築いてくれた先輩たちの努力――その集大成と言うにふさわしいチームだったのではないでしょうか。

グループステージの3試合は薄氷を踏むような戦いでしたし、ベルギー戦でも、FIFAランキング3位の底力を見せつけられましたが、「個」の力を上げ、持ち前の俊敏性や組織力、粘り強さといった日本人のストロングポイントをもっともっと強化していけば、世界と互角に戦えるということを証明してくれたと思います。

今後の課題

今回、U-19日本代表をベースキャンプのカザンに帯同したわけですが、彼らは、先輩たちから多くの刺激を得ていました。日本の試合を観戦し、あの舞台に立ちたいと強く思ったはずです。一方のU-21日本代表もトゥーロン国際大会を経てロシア大会を見ていますので、「次は俺たちの番だ」と気持ちを新たにしたに違いありません。

これから世代交代の時期を迎えるわけですが、幸いなことに2年後には東京オリンピックが開催されます。ブラジル代表がリオデジャネイロオリンピックを経てスムーズに世代交代を図ったように、東京オリンピックが4年後のSAMURAI BLUEの進化の鍵を握っていると思います。だからこそ、東京オリンピックではメダル獲得を目指さなければなりません。

環境整備を含め、あらゆるものを世界基準に

若年層の選手の育成・レベルアップはもちろん、Jリーグのさらなる強化なども重要な課題で、それぞれの道筋をつけるのが我々、日本サッカー協会の役目だと考えています。

部活動が大きな転換期を迎える中で、育成システムをどう改革していくのかを真剣に考えなければなりませんし、指導者養成やライセンス制度も“世界基準”のものに進化させていく必要があります。また、トレーニング環境の充実も不可欠です。

今回のキャンプ地となったカザンの「FCルビン・カザン・ファーストチーム トレーニンググラウンド」は、天然芝や人工芝のピッチはもちろん、宿泊棟やジムやプール、アイスバス、サウナ、マッサージルームや医療質、ミーティングルームなどが完備された世界トップクラスの施設でした。一クラブがあのような素晴らしい施設を持っていることにロシアのサッカー文化の高さがうかがえます。そのカザンで準備ができたということもチームのパフォーマンスを上げた大きな要因だと考えています。

それだけに、トレーニング施設の重要性というものを強く認識しました。

現在、千葉県の幕張で進めているJFAフットボールセンター(NFC/仮称)を日本代表のトレーニング拠点として、また、指導者/審判養成を行う施設として、さらに、テクニカルはもちろん、メディカルサポートやスカウティングなどの情報を収集し分析し、そしてそれを47都道府県サッカー協会(47FA)やJクラブなどに発信する基地として機能させたいと考えています。

日本代表が次なるステージに進むため、そしてJFAが世界トップの組織になるために、サッカーの英知を集結した施設にしたいと思っています。

未来を担う子どもたちへ

今回のFIFAワールドカップを見た子どもたちは、その熱狂や感動、SAMURAI BLUEの粘り強い戦いにスポーツの素晴らしさを感じてくれたのではないでしょうか。今大会を機に、SAMURAI BLUEを目指す子どもたちが増えるのではないかと期待しています。

また、ピッチで戦っている選手だけではなく、サブの選手や試合に出られない選手、その全員がチームのために尽くす姿――そういったところに気づきや学びを得てくれた子どもがいたとしたら、これ以上嬉しいことはありません。

試合の後にスタンドを清掃して帰る日本人サポーターも世界のメディアが称賛し、それにならって外国人サポーターが一緒にやってくれたことも嬉しい出来事でした。

前回大会もそうでしたが、世界トップレベルのチームでは早くも10代の選手がレギュラーで活躍するようになっています。日本のユース年代の選手もSAMURAI BLUEをまだ先の目標だと考えるのではなく、今から本気で目指してほしいと期待しています。

JFAは引き続き、日本サッカーを強く、魅力的なものにするために、そして、誰もがサッカーやスポーツを通じて、喜びや感動、生き甲斐を持てるような環境を広げていきます。そして、その広い裾野の中から、日本を代表する素晴らしい選手を送り出していきたいと考えています。

SAMURAI BLUEに対する熱い応援に感謝するとともに、これからも変わらぬご支援をお願いしたいと思います。ありがとうございました。

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