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U-12年代の選手がフットサルとサッカー双方のプレーを経験する交流試合を開催

2022年09月06日

U-12年代の選手がフットサルとサッカー双方のプレーを経験する交流試合を開催

U-12年代の選手がフットサルとサッカー、双方のプレーを経験することができる交流試合を8月21日(日)に高円宮記念JFA夢フィールドで開催しました。
この交流試合は、育成年代においてサッカーとフットサルをプレーする環境を作り、双方を理解した指導者をより多く生み出し、今後のU-15年代フットサルのルール変更・新ルールに向けての考察や、サッカーとフットサルの親和性をより具体的に検証することで、今後のフットサル普及につなげるためのトライアルとして実施しました。

・開催日
2022年8月21日(日)
・場所
高円宮記念JFA夢フィールド フットサルアリーナ・サッカーピッチC(人工芝)
・参加チーム
GINGA FA、FCトッカーノ、パラムンドFC、鹿島アントラーズつくば
・試合形式
フットサル:10分-5分-10分
8人制:15分-5分-15分

・ルール

 ピッチサイズボールサイズルール
フットサル 36m x 18m モルテン3号球 制限なし/FIFAルール
サッカー 8人制 モルテン4号球 8人制ルール

各担当からのコメント

小西鉄平 JFAフットサルテクニカルダイレクター/普及ダイレクター
ご参加いただいたチームおよび関係者の皆さまに感謝の意をここで伝えるとともに、このようなサッカーとフットサルを楽しめる環境をさらに広めていくことに引き続きパワーを注いでいきたいと思った一日でした。
サッカーとフットサルは競技としては別のものですが、共通点、相違点などを理解することで、楽しみ方が違ってくるので、子どもたちや指導者の発見、気づきといった点で多くのヒントを与えてくれると思います。そのような環境で育った選手たちがのちにサッカー選手、またはフットサル選手へ羽ばたいていくことが、少しずつではあるものの定着してきていると感じているので、さらに普及に力を入れていきたいと感じています。

小森隆弘 JFAフットサルナショナルチーム/育成ダイレクター
二つのゲームタイプを同日にプレーして子どもたちが交流するのを見るのは今回が初めてとなりましたが、この日、一番印象的だったのは子どもたちがアリーナでもサッカーピッチでも同じく活き活きとのめり込んでいる様子でした。
試合の合間や終わってから子どもたちに話しかけたときも、勝敗に関わらずその表情は明るく、楽しさで光っていました。今回このイベントを実施した夢フィールドのように、アリーナとサッカーピッチが隣接し、違うタイプのフットボールをすぐに楽しめる環境はどこにでもあるものではないとは思いますが、楽しさの感覚が少し違うタイプのゲームを子どもたちが経験できることの利点は大いに感じられました。
プレー面でも、上手な子はどちらをプレーしても目立っていたということはありますが、フットサルで輝いていた子がサッカーではそれほど目立たず、フットサルではあまり目立たなかった子がサッカーで光っていたというケースがあったと感じています。これが正なら、異なるタイプのフットボールに触れる機会が広い楽しみの受け皿になる可能性も示唆しているのかもしれません。
今回は行わなかったビーチサッカーも含め、すでに色々なタイプが共存しているフットボールですが、入口(普及)の段階でさらに広くその楽しみに触れられる機会が増えていけばフットボールの豊かさをさらに増幅させてくれるでしょう。そのように実感する一日でした。

延本泰一 JFAフットサル審判委員会
ゴールキーパーのプレーの制限については、ハーフウェーラインを意識せずに味方選手の位置に合わせたボールをフィードしていて、ペナルティエリアを出てのプレーも自然に行っていました。
ピッチサイズを大きくしたことにより、単にボールをけり出してアウトオブプレーになることが減ったり、密集での不用意なファウルが起きることはなく、ランニングタイムで行われた試合の中でボールインプレーの時間が長くなった印象を持ちました。

前川義信 JFAフットサル指導者養成ダイレクター
大人同様のFIFA競技規則によって検証しましたが、様々な現象が出たという印象です。GKのプレー関与(インプレー・アウトオブプレーからの再開)に合わせて、位置的に奥行きを取る、背後を狙う選手は前回の検証より多い印象でした。前回同様にDF背後のカバーリングから足で出したパスがノーバウンドで相手コートに入り、前線につながりチャンスになったシーンや、GKのキャッチからディストリビューションでダイレクトカウンターでチャンスになったシーンなど、これらのシーンが行われても反則にならないのはとても自然に感じました。他方で、相手陣へのノーバウンドによるディストリビューションが競技規則では認められているので、GKが長い距離のディストリビューションを選択していくシーンが増えました。日常でサッカーを中心に活動している子どもたちにとっては、とてもシンプルな選択であると思います。またキャッチ後はキックによる相手陣へのパスを選択する機会が出てきましたが、子どもたちがこの選択を選ぶ背景を考察すると、同時に課題も見えてきました。
この年代のGKの傾向として、ディストリビューションで長い距離の浮き球でのスローを選んだ場合、筋力が伴っていないため、選手自身としてはハイパワーでスローを行っても、長い距離を投げることは難しく、同時に正確性を欠き、選手の意図とは異なる質と距離で送られたボールは相手に奪われることが多くなります。キックにおいても正確なフィードが多かったとは言えないパスが多く、パス本来の繋げるという意図とは異なる、距離で陣地を挽回する、またボールを失っても高い位置で守備起点を作るという別の意図を強く感じました。
このルールを実施した場合、懸念点としてはその技術発揮レベルと発育・発達レベルのバランスという視点が頭に浮かびました。このルールにした場合、早熟のGKにとっては、スローで求める技術の要求レベルは達成できるかと思います。他方で平均的な発育発達をしているGKとしては表現が難しいレベルではないかと思います。ただ、今回の競技規則でも前回の検証競技規則においても、インプレー中は自陣にバウンドしない手でのスロー、足でのパスを認めているので、U-12年代フットサルに取り組むチームはGKのディストリビューションの距離・質の強化は重要な要素になってくると感じました。
ピッチサイズについては、最適なサイズではないかという印象です。サイズ変化(縦4m横2m増)によって、ラインアウトの回数は減り、繋いで持ち上がることが増えた印象を持ちながら試合を見てきました。バーモントカップにも出場した選手に話を聞いてみると『いつもより大きいから繋いで崩せる』と、こうした回答が複数ありました。
彼らの感想は、幅と奥行き(スペース)が広がったことにより、遠くにボールを送ることより、パスを繋いで持ち上がることが有効と感じて、自ら選択していったことを示していると思います。またU-12の全国大会や地方大会でよく見られる、キックインからの蹴り込みをプレーとして選択する回数も、現行のルールよりも数が少なくなくなった印象を持ちましたが、こちらも同様の理由があると考えます。
結果として、プレー中に時間を持って(作って)プレーするシーンは増し、認知して、決断して、実行するにあたり必要な時間を得た印象を持ちます。2回の検証から、ピッチサイズ感としては前回同様に最適という印象を持ちました。他方で、40mx20mのピッチで4種年代がフットサルをするとどのような現象が起こるのかも、検証に値するように思いますので、近いうちに実施してみたいと思います。

稲葉洸太郎 JFAフットサル普及担当コーチ
・『フットサルコートが少し広めだったので、ライン間を使うことが出来たし、キックインからの蹴り込みを使うより繋いだ方が効率的になることも多くあった』
・『フットサルコートの縦幅も少し伸びているので、深さをとってプレーすることができた』
・『サッカーでは味方にボールをパスして終わってしまうことが課題だったが、フットサルで関わりを考えてプレーすることができ、課題へのアプローチに繋がった。また、そのチャレンジ機会も多くてとても良かった』
・『たくさんボールに触れて楽しい!』
・『シュートがたくさんあって楽しい!』
・『スルーなどの技をいっぱい使えた!』
・『ハーフラインを気にしないで投げられたのでスルーパスを出すことが出来た』
・『フットサルでは狭いので人を使わないとプレー出来なかったが、サッカーだとスペースがあるので自分一人で行くことが多い』

上記は参加してくれた選手や指導者から伺った話の一部となります。普段8人制に慣れているチームが集まった中で、フットサルもプレーしてもらい、とてもポジティブな意見を多くいただきました。自分が見ていても、フットサルはたくさんボールに関われるのでボールを蹴る楽しさを感じやすく、成功体験や失敗体験の経験を多く積むことも出来るので、フットボールの普及という観点において向いているなと感じましたし、フットサルとサッカーを両方やることで、サッカーを細かく切り取った3−4人の局面がフットサルピッチの中で展開され、止めやすいボールでプレーすることができ、個人だけではなくグループでの関わりや、同じ絵を描いてプレーしていくためにとても良い機会になると感じました。
やはり、週に1回でも2回でもフットサルをプレーし、それをまたサッカーに活かしていくようなことは大事だと実感出来たので、そのような取り組みをどんどん普及していきたいと思います。

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