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村上伸次さん「審判員の魅力はやった人にしか分からない」勇退審判員インタビュー

2021年12月22日

村上伸次さん「審判員の魅力はやった人にしか分からない」勇退審判員インタビュー

プロフェッショナルレフェリー(PR)でJリーグ担当審判員の村上伸次審判員が2021シーズンをもってトップリーグ担当審判員から勇退しました。ここでは村上さんに現役生活を振り返ると共に後に続く審判員へのメッセージを聞きました。

○オンライン取材日:2021年12月7日

――国内トップリーグ担当審判員から勇退されました。現役生活全般を振り返っていただけますか。

村上 Jリーグ開幕から数年が経った頃に審判員になり、FIFAワールドカップ出場など日本サッカー界が激変する中、テクノロジーが入って審判員の立場も変わりゆく中で携わることができたことを感慨深く思っています。

――1998年から審判員としてのキャリアを始め、J1リーグでのデビュー戦は2005年4月28日の第8節名古屋グランパス対東京ヴェルディ戦(5-4)。後半から主審を務めるという珍しい形でした。

村上 家本政明さんが主審で、私は第4の審判員でした。途中、家本さんが負傷して走りづらそうにしているのを感じ、「もしかしたら後半に出ることになるかもしれない」という予想が現実になって慌ただしく準備しました。そのバタバタ感が後半のレフェリングに反映されてしまい、試合のことは全く記憶にありません。ゲームが荒れた中で終了のホイッスルを吹いたことだけを覚えています。

――最後の試合は今季のJ1第34節名古屋グランパス対浦和レッズ戦でした。

村上 一つ一つの判定はもちろん、選手とのコミュニケーションや声の掛け合いなどもしっかり覚えています。その意味では、J1デビュー戦とは全く違う気持ちで裁くことができました。

――試合終了後には選手たちが花道を作り、胴上げもありました。

村上 整列時に「ちょっと待っていてください」と声を掛けられて、そこから花道が作られ、槙野智章選手が仁王立ちになり、そこで彼が何を求めているのかを直感して、コミュニケーションシステムを使って「試合は終わっているので、カードを出しても無効にしてくれ」と通達してからイエローカードを出しました。胴上げは久しぶりにやってもらって「こんなにいいものなんだな」とつくづく思いました。

――試合後の感情はいかがでしたか?

村上 体調も本当に良かったですし、データを見ると12キロぐらい走っていました。ちょっと前の自分に戻った感覚でしたし、最後ということもあって気持ちもすごく乗っていて、やり切った感がありました。

――審判員として心掛けていたことを教えてください。

村上 まずは体重の管理ですね。大学を卒業する頃が75キロで、以降も筋力を落とさないようにしつつ73キロから77キロぐらいの間を維持しました。体脂肪も15パーセント以下に保つよう、トレーニングや食事に気を遣っていました。最終戦の時は体重を3キロぐらい絞って72キロぐらい、体脂肪率も11パーセントぐらいだったので、体が非常に軽かったです。

――今後やってみたいこと、チャレンジしてみたいことはありますか?

村上 確定ではないんですが、実は自宅のある岐阜県内で、岐阜県の方と一緒に高校生の試合を裁くのを本当の最後にしようと思っています。年明けの新人戦になると思うので、そこに向けてトレーニングを続けるつもりです。また、自転車に乗ることや写真を撮ることが好きなので、岐阜県内のいろいろな場所を巡って写真を撮りたいと思っています。Jリーグの試合も見たいですね。FC岐阜のホームスタジアムまで自転車で20分ぐらいなので、時間があれば見に行こうと思っています。

――これから審判員を目指す人に伝えておきたいことはありますか?

村上 見えない努力やトレーニングをしなければならない大変な仕事ですけど、選手と一緒に走り、最高の場所で最高のプレーを見られるという素晴らしい景色が待っています。時間がある時には自分でもボールを蹴り、どんなことをすればファウルになるのか、どんなチャレンジをすれば正当にボールが奪えるかなどを日々、感じながら目指していただきたいと思います。

――村上さんにとって審判とは?

村上 サッカーの試合において審判員は目立つ存在です。選手より先にピッチに入りますし、試合を始めるための笛を吹く役割を担っています。いい判定をしても中々取り上げられませんが、間違えた判定をするとすぐに目立ってしまいます。難しい仕事ではありますが、やりがいや喜びは大きいものです。一度やってみるとその魅力が分かるのではないかなと思います。

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