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【JFA STATEMENT】第12回 この10年で積み上げてきたものを次の発展に~「JFA中期計画2015-2022」~

2015年06月19日

【JFA STATEMENT】第12回 この10年で積み上げてきたものを次の発展に~「JFA中期計画2015-2022」~

ますます厳しくなるアジアの戦い

2018FIFAワールドカップロシアのアジア2次予選がスタートしました。6月16日の初戦、SAMURAI BLUE(日本代表)はシンガポール代表と対戦し、相手にシュート23本を浴びせるも得点できず、スコアレスドローに終わりました。強化試合とは全く異なる戦いをしてくるというのがワールドカップ予選の特徴ですね。FIFAランキング154位のシンガポールがアウェイで日本と戦うとなると、あのように引いて守る戦い方になるのでしょう。ハリルホジッチ監督も今までに経験したことのないゲームだったと言っていましたが、アジア予選を戦うには、多様な戦い方に対応できる力が必要になります。それを痛感した試合でした。

アジア全体がレベルアップしている中で、もはや簡単に勝てる相手などなく、どの試合も気を引き締めて戦わなければなりません。この結果を教訓にこれからのアジア2次予選を勝ち抜いていきたいと思っています。

なでしこジャパンの成長

FIFA女子ワールドカップ連覇を目指すなでしこジャパンはグループステージを首位で通過し、いよいよセカンドステージに入ります。

グループステージを3勝、それもすべて1点差での勝利です。内容は決して良いものではありませんでしたが、それでも勝てるというのはチームが強くなった証。前回の世界大会を制した自信が根底にあるのではないかと見ています。

ラウンド16の相手は、ドイツやスウェーデン同様にフィジカルに長けたオランダ女子代表。セカンドステージで対戦する相手は世界女王の日本を研究し尽くし、さらに強化して挑んでくるわけですから、前回大会よりは厳しい戦いを強いられるのは覚悟の上です。それでもこのグループステージを勝ち抜いたように、内容がどうであれ勝ち切るという自信があるので、なでしこジャパンらしい戦いができれば、勝利の可能性は十分にあると思っています。

「JFAの約束2015」の総括

さて、今回の「JFA STATEMET」では、日本サッカー協会(JFA)がこの度まとめた中期計画についてお話ししたいと思います。

JFAは「JFA2005年宣言」で、「サッカーを愛する仲間=サッカーファミリーが500万人になる」、そして「日本代表チームは、世界でトップ10となる」という「JFAの約束2015」を掲げました。今回、選手や審判員、指導者などの登録者、協会職員やボランティア、クラブスタッフなどの運営スタッフ、「チケットJFA」の会員、さらに、未登録でサッカーやフットサルなどをプレーしている人を含め、サッカーファミリーを526万人と算出しました。この中には、日ごろ日本代表戦やJリーグの試合をテレビや会場で観戦しているファン・サポーターは含んでいません。もちろん彼らも大切なサッカーファミリーですが、今回はJFAに登録している選手や指導者、審判員など特に関わりが深い人を、JFAが普及施策を進めていく上での施策評価指標として対象にしました。選手としてプレーする傍ら、指導者や審判員としても活動している人が二重にカウントされているということはあるものの、目標の500万人を突破したということで、目標は概ね達成できたと思っています。
今年から「Jエントリー」という新しい登録システムを導入しましたので、将来的には、1人のサッカーファミリーに対して1つのIDを与えることでより精度の高いファミリー数が算出できるようになります。

個別に見ますと、2種が173,843人で、10年前の2005年と比較すると12.3%、3種は、268,518人で22.4%、4種は315,178人(女子含む)で11.8%、それぞれ増えています。少子高齢化が進む中で、サッカー人口が増加している背景には、都道府県協会を中心に実施してきたキッズプログラムや各種フェスティバル、JFAフットボールデー、JFAなでしこひろばなどの普及施策の成果だと思っています。

代表の強化に関しては、技術委員会がFIFAワールドカップブラジル大会をはじめとする各試合において日本代表の課題をまとめ、それを「2015 日本代表 強化指針」に明記しました。それをトップだけではなく、育成にも落とし込み、サッカー界全体で推し進めていきます。

一方、JFAの組織についてですが、各国サッカー協会/連盟の情報を収集し、職員数や登録人口、施設数、観客動員数、収支など8つの観点で比較しました。2008年には全ての都道府県協会を法人化することができましたし、JFAこころのプロジェクトやJFAグリーンプロジェクト、リスペクトプロジェクト、東日本大震災復興支援活動といった社会貢献活動、国際貢献活動にも積極的に取り組んできました。昨年からは「JFAリフォーム」と称して、FIFAの標準規約と合わせて組織改革を進め、ガバナンスの整備や規約の改正、組織・人事システムのさらなる充実にも取り組んでいます。組織強化は私が最もこだわっていた部分であり、順調に進んでいることを喜ばしく思っています。

「JFA中期計画2015-2022」

また、このサイトに掲載していますが、JFAは、今後8年間の目標と取り組むべき活動を整理し、『JFAの約束2050』にまとめました。この中期計画は、①概要、②「JFAの約束2015」の総括、③今後8年間の環境分析とJFAの事業構造分析、④2030年に向けた目標と新たに設定した「JFAミッション2015-2022」、⑤遂行すべきことをまとめた「アクションプラン2022」、そして⑥8年間の収支計画、の6項目で構成されています。

18年には、FIFAワールドカップのロシア大会が、22年にはカタール大会があります。女子サッカーは、今、カナダで行われているワールドカップのあと、19年にフランス大会が控えています。国内では、日本代表の活動拠点としてJFAナショナルフットボールセンター(仮称)の整備を計画しておりますし、20年には東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会、翌21年にはJFA創立100周年が控えています。4月にFIFA理事となった田嶋幸三副会長は、100周年の年に日本でFIFAの総会を開催したいと明言していますので、そういったことも含めて日本サッカーにとって非常に重要な8年になります。

この中期計画に合わせて、JFAは今年、サッカーファミリーが大切にすべき価値観=「JFAバリュー」を策定しました。職員全員で長時間にわたるワークショップを何度も行い、都道府県協会の関係者とも議論を重ねてつくり上げたものです。この「JFAバリュー」を「JFAの理念」「JFAのビジョン」とともに多くのサッカーファミリーの皆さんと共有し、日本サッカーの発展につなげていきたいと考えています。

また、現在、「JFAウェイ」という役職員の行動指針を再構築している段階です。これは、役職員が日毎の業務に当たる上で非常に重要な指針になるもので、今年秋の完成を目指して議論を進めています。

アジアのリーダーとして

ご存知の通り、いま世界のサッカーでは、スポーツの尊厳を脅かす深刻な事件が起きています。国際サッカー連盟(FIFA)の幹部らが収賄などの疑いで逮捕、起訴される中、再選を果たしたジョセフ・ゼップ・ブラッターFIFA会長が当選の3日後に辞意を表明するなど、大きく揺れ動いています。現在は捜査段階で、我々としては静観している状況ですが、今後、いろいろなことが明らかになっていく中で、アジアが結束してこの問題に関与していく必要があると思っています。7月20日にはFIFAの臨時理事会があり、そこで会長選の日程と場所が決まります。ブラッター会長がどういう考えを出してくるかということも見極めなければなりません。

今回、田嶋幸三副会長がアジアサッカー連盟(AFC)で36もの票を獲得し、FIFA理事に当選した背景には、これまでの日本の誠実さ、クリーンさが評価されたこともあると思います。しかも、八百長疑惑の絶えないアジアにあって日本は一度も八百長などの不正が起こっていない国でもあるのです。ですから、田嶋副会長には、アジアの代表としてリーダーシップを発揮し、アジアサッカーと世界のサッカーの改革に努めてほしいと期待しています。

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