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U-17日本代表

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大食漢の若き代表 ~技術委員長 反町康治「サッカーを語ろう」第31回~

2023年08月22日

大食漢の若き代表 ~技術委員長 反町康治「サッカーを語ろう」第31回~

前回のU-20日本代表に続いて今回も若い世代、AFC U17アジアカップ タイ2023(6月15日~7月2日)で頂点に立ったU-17日本代表について語ってみたい。

7月2日、バンコクのパトゥムターニースタジアムで優勝を争った相手は、どのカテゴリーの代表でもライバルといえる韓国だった。実際、今回の韓国も優れたチームだった。聞くところによると、韓国は従来の殻を破ろうと、ゴールデンプランと呼べるような改革を育成のところで行い、今回のチームはその成果が出てきた世代らしい。結果的に試合は日本が3-0で快勝したものの、逆のスコアでやられてもおかしくないくらい、力量差は際どいものだった。ここ最近の日韓戦はあらゆるカテゴリーで日本が3-0で完勝することが続いているが、そんなことで浮ついた気持ちになったら、いつでも猛烈なしっぺ返しを食うことになるだろう。

それはさておき、決勝は流れをつかむ上で前半に大きな出来事があった。38分の大ピンチでGKの後藤亘(FC東京U-18)が相手選手との1対1を見事に防ぎ、44分の反則で得たFKを名和田我空(神村学園)が直接決めて先制できた。この反則で韓国のDFが2枚目の警告を受けて退場になった。力が拮抗する相手から数的優位と先制点を同時に得られたことは、後半を戦う上で大きなアドバンテージになった。日本は手綱を緩めることなく、後半はゲームを完全に支配し、チャンスをつくり続けた。66分に佐藤龍之介(FC東京U-18)の縦パスを望月耕平(横浜F・マリノスユース)から名和田と鮮やかにつないで追加点を挙げた。この中央突破は大会の数あるゴールの中でも白眉といえるものだったと思う。後半のアディショナルタイムには道脇豊(ロアッソ熊本)がダメを押してくれた。

大会に団長として参加していた私は、折に触れて選手に「取材を受ける心得」をアドバイスしていた。細かいことだが、こういう方針を徹底させるのも団長の仕事。どんな状況であっても、対戦相手やレフェリー、関係者へのリスペクトの気持ちを持ってコメントすることが重要だ。この年代の日本のトップ選手として、発言の影響力を自覚してメディアへの対応も学んでいくことが必要だろう。試合後の韓国のビョン・ソンファン監督も指導者として立派な態度だった。韓国からすれば日本に負けたことに加え、いろいろな不満の残る試合だったのではないかと思うが、試合後の表彰式では日本チームに対して拍手を送るよう選手に促していた。

この大会の日本は初戦こそ、優勝候補のウズベキスタンに1-1で引き分けたが、第2戦はベトナムに4-0、第3戦はインドに大味な試合ながら8-4で勝利をおさめ1次リーグD組を首位で通過した。ノックアウトステージに入ると準々決勝でオーストラリアを3-1、準決勝でイランを3-0と撃破。大会史上初の連覇が懸かった決勝も韓国を3-0で退け、個人部門で得点王の名和田がMVPを獲得、GK後藤もベストゴールキーパーに選ばれるなど文句をつけようがない優勝となった。私としては、それが逆に心配で、チーム解散を前に行った全体ミーティングで選手の慢心を戒めた。6月のFIFA U-20ワールドカップ2023で優勝を狙いながらグループリーグを突破できなかった先輩たちのアンケートやコメントも載せてパワーポイントを作成。今大会を振り返りながら「アジアで優勝できた今、しっかりと足下を見つめて謙虚に努力を積み重ねていこう。本大会まで3、4カ月もないけれど1日1日を無駄にしないように覚悟を持ってやろう」と引き締めた。日本に敗れた悔しさを糧にするはずの韓国はここから4回活動をしてインドネシアで開催されるFIFA U-17ワールドカップ 2023(11月10日~12月2日)に突入する。日本は8月の「HiFA 平和祈念 2023 Balcom BMW CUP 広島国際ユースサッカー」や9月の「フランス・リモージュ国際大会」「国際ユースサッカーin新潟」の3大会を経て本番に入る。アジアカップは23人で戦えたが、本大会は21人に減らされる。ワールドカップに参加できるのは誰か。私が檄を飛ばすまでもなく、それだけでも大変な競争になることは選手たちも分かっているようだった。

この年代の選手たちは1試合ごとに成長するのが手に取るように分かる。それをきちんと理解して、代表に選ばれることを喜んでくださる学校の先生方やクラブの関係者が大勢いる。代表の重みを感じながら中2日の連戦を勝ち抜くことで「いろいろな面でタフになって代表から帰ってきました」と。そういう感謝の言葉を聞けることも、この仕事をやっていて良かったと思える瞬間の1つかもしれない。

今回のU-17日本代表にも将来が楽しみな選手がいる。ただ、彼らも自分の所属チームに戻ると高校2年生や1年生で、レギュラーとして試合に出られるかどうかという状況に立たされる者がいる。一方で道脇のように既にJリーグにデビューしている選手もいて、そういうタレントが増えてくると、これはこれで別の心配事が出てくる。彼らとの間でしっかりとしたプロ契約を結び、移籍のオファーが来たらコマーシャルベースに載せて交渉ができるようにしておかないと、FIFA(国際サッカー連盟)の国際移籍ルールは18歳になると原則解禁になるから、油断するとあっという間に外国のクラブに移籍金もなしで持っていかれてしまうのだ。外国なら、アルバセテの下部組織で頭角を現した12歳のアンドレス・イニエスタをFCバルセロナが持っていくのは当たり前の感覚。Jクラブ同士なら選手の〝横取り〟は暗黙のルールの下で起きないけれど、外国勢にそんな紳士協定は通用しない。プロ契約をしていない高校部活組の選手ならなおさらのことだ。

前回のこの欄でBMI(Body Mass Index)値について触れた。体重と身長から割り出される肥満度を表す体格指数のことだが、今回のU-17日本代表の選手たちの食欲のすごさには本当に驚かされた。成長期ならではというか、食べる、食べる! スチームライスをこれでもかと用意していたのに、それを山盛りで食べておかわりをして、それでも胃袋は満たされず、おかずが足りない状態になってしまった。パスタも同様。それでバンコク市内のドンキホーテに買い出しに出かけて納豆やパスタにかけるソースを購入、ライスやパスタに混ぜて食べてもらった。米大リーグ、エンゼルスの大谷翔平選手も高校時代は朝と夜で計10杯のどんぶりメシをノルマとして課していたらしいが、こういう旺盛な食欲で順調に伸びていってくれたらと本当に頼もしく映った。

大会期間中の食事といえば、韓国代表は必ず寸胴鍋を宿舎に持参し、現地の韓国料理店のスタッフが韓国の食材を持ってきてはその鍋に移し入れていた。彼らの精力的な動きを韓国料理が支えているのは間違いないだろう。日本に準々決勝で敗れたオーストラリアはフル代表のグラハム・アーノルド監督が視察に来ていた。中国でアルゼンチン代表と親善試合をした後、その流れで足を運んだとのこと。彼らはチームにシェフが同行していた。絶対に負けられないという態勢をU-17の代表チームでもつくっていたわけだ。それだけ食は大事ということだろう。なでしこジャパンのFIFA 女子ワールドカップ オーストラリア&ニュージーランド 2023の躍進も、代表シェフとして有名な西芳照さんが今回同行したことと決して無関係ではないだろう。

11月に開幕するFIFA U-17ワールドカップ 2023の出場24チームはすべて出そろっていて、アジアからはインドネシア以外に日本、韓国、ウズベキスタン、イランが出場する。組み合わせ抽選は9月中旬に行われる。日本はアジアカップでの優勝を受けてポッド1に入るが、いつものように欧州や南米の強豪と同組になることは避けられない(ポッド2にドイツ、イングランド、アルゼンチンがエントリーされている)。日本としてはFIFA U-20ワールドカップ2023大会の反省点を生かして、もう一皮も二皮もむけて本大会に臨みたいと考えている。本大会ではPK戦もあるし、その対策も抜かりなくやっていく。ジャカルタの気温は冬場でも30度を超えるそうだから、現地で暑熱順化を兼ねた合宿を張ることも考えている。本大会では3試合で終わってほしくない。ワールドカップのような大会は1つでも多く戦えば戦うほど、血となり肉になるものも増えていく。最大で7試合を戦い、最終的にカップを頭上に掲げてほしいと、親のような気持ちで願っている。そのためには誰が出ても同じクオリティーを保てる準備をしておかなければならない。私はその実現のために「チーム・ビハインド・ザ・チーム」、つまり選手と監督、スタッフの力を最大限に引き出す支援部隊の充実に努めたいと思っている。表舞台に立つ選手、監督と、それを支える裏方の力が1つになったとき、夢はかなうと信じている。

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