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【ピッチサイドストーリー】息子に託した自分の夢、共に歩んだ全国への道~第98回全国高校サッカー選手権・和歌山工業高校
2020年01月04日
第98回全国高等学校サッカー選手権大会が2019年12月31日(火)に開幕し、連日熱戦が繰り広げられている。ここではピッチサイドで試合を応援する方々にスポットライトを当て、ピッチ上に秘められたストーリーをお届けする。
1回戦 2019年12月31日(火)/フクダ電子アリーナ
松本国際 1-0(前半0-0、後半1-0)和歌山工業
和歌山工業高校は1988年の第66回大会から全国高等学校サッカー選手権大会に3大会連続で出場した後、約30年にわたってその舞台から遠ざかっていた。30年ぶりの雄姿をスタンドから見守った藪雅仁さんは、初出場したチーム、そして今回出場したチームに縁深い人物だった。
藪さんは高校時代、星林高校のサッカー部でキャプテンを務めていた。彼自身も選手権出場を目指して真剣にサッカーに取り組んでいたが、3年間でその夢をかなえることはできなかった。そして彼が高校3年の時、和歌山工業が選手権初出場を成し遂げる。そのメンバーの中には、藪さんが中学時代、同じチームで切磋琢磨した仲間が何人か含まれていた。実際に会場で応援することはできなかったが、かつての仲間たちが戦う姿をテレビで見て「うれしかった」と振り返る。
時を経て迎えた今大会、彼の息子である藪恒星は背番号7を背負い、和歌山工業のDFとして1回戦の松本国際高校戦に先発出場した。5歳でサッカーを始め、小学生時代は少年団のコーチを務めていた藪さんと二人三脚で歩んできた。「親が立てなかったこの舞台に息子が立つなんて夢のようですね。ここに連れてきてくれて感謝ですし、こんな素晴らしい会場で和歌山工業の選手たちを見られるのがとにかくうれしいです」。藪さんは試合前から、初めて味わう選手権の雰囲気を満喫していた。
和歌山工業は守備に費やす時間が長く、藪恒星もシュートブロックやこぼれ球のクリアなどに奔走する。しかし58分に失点し、0-1で惜敗。試合後、応援席に挨拶に訪れた藪恒星は涙を流していた。スタンドから見守る藪さんも、涙をこらえているように見えた。
「選手たちはこれまで積み上げてきた戦術どおりにプレーしてくれました。ふとした瞬間に失点してしまいましたが、最後に追い上げも見せてくれました。(息子も)今日は最高のプレーをしていました。ほめてあげたいと思います。『お疲れさま』の一言に尽きます。子どもの頃からずっと一緒にやってきたので、昔話をしながら今日の試合を振り返って、これからのサッカー人生につながるようにしたいですね」
試合後、藪さんは和歌山工業の選手たち、そして我が子の奮闘をそう称えた。その顔には、晴れやかな笑顔が浮かんでいた。
第98回全国高校サッカー選手権大会
大会期間:2019/12/30(月)~2020/1/13(月・祝)
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