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競技規則とリスペクト ~いつも心にリスペクト Vol.97~

2021年09月15日

競技規則とリスペクト ~いつも心にリスペクト Vol.97~

サッカーの統括組織である国際サッカー連盟(FIFA)や日本サッカー協会(JFA)が現在最も力を入れて広めようとしている考え方が「リスペクト」です。
「勝利第一主義」や「過剰な利益追求」に陥りがちなサッカーの世界を、あるべき姿にとどまらせ、あるいは引き戻す力は、サッカーに関わる人が互いに互いを尊重し一緒に心からサッカーを楽しむことで、サッカーに関わる人生をより豊かなものにするという、「リスペクト」の精神にこそあると確信しているからです。
しかし、サッカーの試合の中で、「リスペクトに欠けるから反則」とか、「イエローカード」といった説明には、出合った記憶がありません。「競技規則(ルール)」はどうなっているのでしょうか。
現在使われている「2020/21年版」の競技規則を調べてみました。英語版では、「respect」という言葉が24回出てきます。しかしそのうち何回かは日本語では他の訳語がふさわしく、また、英語版ではFKの際に守備側が離れなければならない距離を「守る」ことも「respect」の言葉が使われています。その結果、日本語版では「リスペクト」という言葉が出てくるのは13回です。
ただ、「リスペクト」が主として強調されているのは、競技規則の本文ではなく、「前文」として書かれた「サッカー競技規則の理念と精神」、「競技規則改正への対応」という二つの短い文章においてです。ここでは繰り返し「リスペクト」という言葉が使われ、計7回になります。
ちなみに、「理念と精神」という短い文章は、競技規則の細かな条項よりも重要だと私は思っています。「競技規則」はJFAのホームページから自由に閲覧・ダウンロードすることができますので、一度読んでいただきたいと思います。
さて、そうした「前文」的なものを除く競技規則の本文に、「リスペクト」という表現が6回も出てくるのに、私は多少驚きました。試合の判定の中で「リスペクト」という理由が出てこないので、競技規則の中にはこの言葉がないのではと考えていたからです。
六つのうち一つは、「用具にリスペクトのロゴをつけてもいい」というもので、あまり重要ではありません。残り五つのうちの一つは第5条「主審」の「2」に「審判員の決定は、常にリスペクトされなければならない」と出てきます。これは当然のことです。
残りの四つは、すべて第12条「ファウルと不正行為」の中にあります。一つは「反スポーツ的行為に対する警告」という項目の中で、「試合に対してリスペクトに欠ける行為を行う」とされています。この日本語版の「試合」は英語版では「the game」となっており、私は「試合」より「サッカー」と訳すほうがいいのではないかと思うのですが、ともかく、リスペクトに欠けた行為であるとして警告を与えられることが、競技規則にはっきりと書かれているのです。
残りの三つは、チーム役員に注意や警告が与えられるケースを示したもので、審判員やサッカーに対するリスペクトに欠ける行為には警告を与えるとされています。これらのチーム役員に対する警告の条項は、競技規則の2019/20年版で付け加えられたものです。
FKの際の守備側選手のあからさまで意図的な距離不足、スローインのときにずるずると10メートルも前に進んでしまう行為、シミュレーション。相手に警告を出させようとあるいは時間をかせごうと倒れたままの選手など、とても醜い行為が、さまざまなレベルの試合でしばしば見られます。
「そんなのサッカーの常識だよ」と言う人もいるかもしれません。しかし他の競技をしている人の目には、信じ難いほど醜い行為と思われていることを知らなければなりません。それはサッカーにとって大きな不利益になることです。
審判員たちも、こうした行為に「寛容」あるいは「あきらめ」にならず、「サッカーに対するリスペクトに欠ける行為ですよ」と明確に伝えて注意し、もし改まらないのであれば警告を与えてほしいというのが、私の意見です。

寄稿:大住良之(サッカージャーナリスト)

※このコラムは、公益財団法人日本サッカー協会機関誌『JFAnews』2021年5月号より転載しています。

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