2025.6.11
サッカー日本代表監督
“日本一丸”となって ワールドカップ優勝を
日本サッカー協会は、2005年に発表した「JFA 2005年宣言」の中で、2050年までにSAMURAI BLUE(日本代表)がFIFAワールドカップで優勝するという目標を掲げました。過去最高成績がベスト16であると考えると、26年のワールドカップではベスト8進出が現実的な目標になると思いますが、そこだけを目指していても成長は望めないでしょう。
18年のロシア大会ではラウンド16でベルギーに敗れ、そのベルギーは3位でした。22年のカタール大会では、同じくラウンド16でクロアチアに敗れました。このときはPK戦による敗退であり、クロアチアはこのカタール大会で3位、ロシア大会では準優勝でした。日本ももう一つ壁を乗り越えれば決勝まで勝ち進むことができる、優勝できると私自身が強く実感しましたし、何より試合後の選手たちの悔しそうな表情からは、やり切ったけれども力が及ばなかったのではなく、勝てる力があったのに負けてしまった、という無念さを感じました。自分たちにもチャンスがあるのだから目指すべきだ、ということで、選手たちとも話し、ワールドカップ優勝、世界一を目標に掲げています。
今のSAMURAI BLUEには、欧州五大リーグの上位チームに所属する選手、UEFAチャンピオンズリーグなどの大舞台を経験している選手が数多く名を連ねています。世界のトップ基準で戦う選手が増えていますし、それだけの層の厚みが備わったのは日本サッカーにとっては大きなプラスだと思います。
26年のワールドカップで優勝するためには、8試合を戦わなければなりません。心身ともにフレッシュな状態を維持したまま戦い抜くためには、ターンオーバーも考えなければならないでしょう。招集した選手で同じレベルのチームを複数つくり、選手を使い分けながら戦うイメージは常にしています。それができている部分はありますが、負傷などのトラブルにも対応しなければならないことを踏まえ、さらに選手層に厚みを持たせていきたいとも考えています。
海外で戦う選手たちが異口同音に語るのは、「欧州のサッカーと国内のサッカーは別競技」ということです。現状では、海外に行って成長できると感じているからこそ、多くの選手が海外クラブに移籍していると思います。日本が将来、優勝の本命としてワールドカップに臨むためには、その差を埋める必要があります。Jリーグも海外のリーグも変わらない、という状況をつくっていかなければならないでしょう。
また、私がワールドカップを経験して感じたのは、国が一つになり、国民全体が応援しているチームが上位に進み、優勝しているということです。SAMURAI BLUEだけではなく、日本のサッカーファミリーだけでもなく、日本全体が関心を持ち、一体となって世界に挑む雰囲気が必要だと思います。みんなで最高の景色を見られるよう、“日本一丸”となってワールドカップ優勝を目指していきたいと考えていますので、応援よろしくお願いします。