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コロナ禍における国際試合の意義 ~技術委員長 反町康治「サッカーを語ろう」第2回~

2020年09月11日

コロナ禍における国際試合の意義 ~技術委員長 反町康治「サッカーを語ろう」第2回~

10月のFIFAインターナショナルウィンドウ(FIW)を利用して、サムライブルーはオランダで二つの国際試合を行うことになった。コロナ禍において健康と安全への配慮を最優先にしつつ、このタイミングでテストマッチにトライすることの意義を今回は伝えたい。

国際サッカー連盟(FIFA)が定めるFIWが年内は10月の5日から13日、11月の9日から17日と2カ所ある。各国・地域の協会は、FIWの期間だけは所属クラブに気兼ねすることなく、選手を代表チームに招集することができる。欧州連盟(UEFA)は既に9月から、この期間を利用して第2回のネーションズリーグを始めている。一方、アジア(AFC)、南米(CONMEBOL)、アフリカ(CAF)、北中米カリブ海(CONCACAF)、オセアニア(OFC)の各大陸連盟は、ここまでコロナ禍の影響で満足に代表戦を行えないでいる。サムライブルーも3月、6月、9月に予定した6試合分がすべてふいになり、ワールドカップ(W杯)カタール大会アジア2次予選の残り4試合も未消化のまま、来年3月以降のFIWに持ち越すことになった。

このままでは2020年という年を、サムライブルーは、1試合も戦わないまま終えることになる。代表チームの強化の継続性を考えたとき、非常に困った事態といえる。来年3月に再開予定のW杯アジア予選に「ぶっつけ本番で臨む事態は避けたい」という現場の声は、私にも十分に理解できた。そこで用意したのが10月のFIWにオランダで強化試合を行うことだった。AFCとFIFAは協議の上でアジアでのW杯予選に待ったをかけている。しかし、FIWに試合をすること自体は禁じてはいない。それで、極めて厳格な制限付きの活動にはなるが、アジア以外でサムライブルーの試合ができる場所を探すことにした。

入国制限や入国後の行動制限などがあって国内で国際試合を行うことは難しい。JFAの医学委員会など関係各所と検討を重ねた結果、出てきた答えがオランダでの開催だった。理由は幾つかある。新型コロナウイルスのダメージが、欧州の他の国々と比べると、オランダは感染爆発というほどには至っていないことが一つ。交通の便もいい。日本からアムステルダムに直行便のフライトがあり、欧州からも選手が集まりやすい。何よりオランダは、日本からの渡航者や日本人に対し、入国後の行動に制限を設けていない。代表戦ともなると、合宿の準備から試合の開催、撤収作業に至るまで、滞りなく行うためにそれなりの数のスタッフが日本から森保一監督に同行する。その全員が現地で「2週間は待機して行動を自粛」ということになるようでは話にならない。そういう点でもオランダは試合を行うのに適地といえる。

もちろん、コロナ対策には念には念を入れて臨む。2試合ともリモートマッチ(無観客試合)で行い、チームの滞在場所と試合会場は1カ所に限定、移動は練習場と試合会場を往復するだけと最小限に抑える。対戦相手も含めて選手とスタッフの健康と安全を最優先に考えたガイドラインを練り、それに沿って行動する。「施されたら恩返し」じゃないけれど、試合を無事に終わらせることが、われわれを迎え入れてくれるオランダとオランダ協会、選手が所属するクラブに報いることにつながると考えている。

対戦相手選びは難しかった。欧州勢はネーションズリーグのさなかだし、南米勢は10月からW杯予選に突入することになっていて、おのずとわれわれと似た境遇のアフリカ勢に絞られていった。カメルーンとコートジボワールは欧州在住の選手とスタッフで、今できるベストのチームを編成すると約束してくれている。

こちらの編成は、森保監督が決めることで、私の出る幕はない。サムライブルーは常に「ベスト・オブ・ベスト」を選ぶべきだが、何がベストかの判断は森保監督に一任している。ただ、国内から選手を連れて行くとなると、オランダに入るときは問題ないが、日本に帰国した後に健康でも自宅待機になる可能性が今は高い。そうなると、出発から帰国して日本でプレーできるようになるまで、約1カ月近く、所属チームから離れることになりかねず、大変な迷惑をかけることになるだろう。このあたりは非常にデリケートな問題で、今の段階では「だから国内から選手を連れていくのは無理だ」と言い切ることもできない。例えば、帰国後の自宅待機の期間に関する政府見解が今後、変わることもありうるだろう。メンバーを発表するまでは、状況の変化を慎重に注視するとしか言いようがないのが、正直なところだ。 

10月のミニキャンプと二つの試合は、10カ月もサムライブルーとしての活動がなかった選手たちの現在地を確認すると同時に、チームのコンセプトを落とし込んで再確認する貴重な場になる。そこで検証されたことを来年春に延期されたW杯予選につなげていきたいと強く思っている。これだけ長期間、活動をしないと、浸透させたはずのコンセプトやチーム戦術はどうしても薄れるし、どんどん出てくる若い選手をタイミングよくすくい取れない歯がゆさもある。伸び盛りの選手は半年、一年の間で見違えるほど成長するものだ。そういう伸長を、実際のトレーニングや試合を通じて観察する機会も森保監督に与えたい。

選手には、久しぶりの代表戦で、日本の代表としての帰属意識や連帯意識をより強く持ってもらいたいと思う。日の丸をつけて戦う意味や重要性、代表の一員としてサッカーができる喜びをコロナ禍であっても、いや、コロナ禍にあえぐ今だからこそ、かみしめてほしい気がする。一つの場所に集まって、われわれの持てる力を披露して、オランダ発ではあるが、心躍るようなニュースを日本に届ける。そういう非常に重要な機会になると思っている。

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