アクセス・フォー・オールハンドブック テキスト パート3の1 女子 【15ページ】 「女子」 人口の半分は女性なのに、「する」「見る」「関わる」とも参加が極端に少ない現状です。女子サッカーの歴史は男子サッカーに比べて浅いですが、先人の尽力、なでしこジャパンの活躍もあり、「女子がサッカーをする」ことに、もはや違和感は薄れているはず。何か障壁があるのではないか、と考えてみます。 【16ページ】 背景を知ろう!  女性は人類の半分もいるにもかかわらず、サッカーをはじめとした社会参加については非常に遅れており、マイノリティの中の最大のマジョリティと言われています。世界の中で日本の女性の社会参加について、グローバルジェンダーギャップ指数という指標で世界をフラットに比較して見てみると、極端に低い結果になっています(2024年時点で146カ国中118位)。日本社会にいると普段あまり不自然に思えなかったり、どこも同じではないかと考えてしまいがちですが、そんなことはありません。自分達の当たり前の感覚を疑ってみることも必要なのではないでしょうか。 ※グローバルジェンダーギャップ指数とは、WEFが毎年公表しているもので、経済活動や政治への参画度、教育水準、出生率や健康寿命等から算出される、男女格差を示す指標です。  サッカーについて考えてみましょう。なでしこジャパンが世界一をとり、育成年代も含め、日本の女子サッカーは、世界で評価されているにもかかわらず、日本におけるサッカーへの女性の参加は、未だに非常に低い数字です。  男性のスポーツとされてきたサッカーにおいて、イングランドで1920年から女性へのグラウンド貸出が禁止されサッカーへのアクセスが長くとざされてきたように、女性はサッカーから遠ざけられていました。禁止が解除され、国際試合が行われるようになった1970年代が、現代の女子サッカーの歴史 のスタートと考えると、この50年で大きな変化を遂げて急激に発展してきたといえます。しかし、男子 サッカーと比べて女子サッカーは後発であり、まだまだ大きな偏りがあります。この差には、社会の中に深く根ざしたものがあるのです。その差を認識しつつ、工夫や取り組みをしながら機会を増やしていくことを意識的に考えていく必要があります。  女性の「する」「見る」「関わる」を考えたときに、指導者・リーダーシップに関わる女性の人材不足が挙げられます。このことが、全体を広げていくことに、障壁になっているのかもしれません。もっと女性に関わってもらうためには、女性も交えて考えるべきであり、代表者は、社会の縮図となる比率に近づけていくことを考えていきたいものです。女子サッカーに関わることだけでなく、多様な意見を踏まえた話し合いにつながるはずです。準備をしていくこと、段階的に進めていくことはできるのではないでしょうか。  ● 47都道府県サッカー協会における女性役員の人数と割合は、現在、9.1%です。 【17から19ページ】 アクションを起こそう! 「する」 サッカーとの出会いの場 はじめての女子が参加しやすい設定を 巡回指導の機会重視  サッカーに出会う場を考えたときに、年齢的に男女関係ないと言われるキッズ年代、小学校低学年代であっても、フェスティバル等のイベントへの女子の参加率は通常1割程度です。女子歓迎、初心者・未経験者歓迎と銘打っていても、実際にはサッカー経験のある女の子が全体の1割ほどしか参加していないことも多く、参加しにくくなっている可能性があります。  女子だけ、初心者だけという場を確実につくることで、参加しやすさ、楽しみやすさが保証されます。また、フェスティバル等は、自ら主体的に探して申し込んで来る人達が集まります。一方、巡回指導等は、そこにいる子達全員に対し、自分から探して行くほど好きではないかもしれないけれど、結果的に楽しんでもらう機会を作ることができる、とても貴重な機会です。特に女子にとっては、サッカーとの良い出会いをするために、非常に重要な機会となります。 「する」 楽しかった出会いの先に クラブに入る手前に気軽に定期的に参加できる場を  サッカーとの良い出会いがあり、楽しかった、もっとやりたい!と思った気持ちをぜひとも受け止めたいものです。とはいえ、チームを探して参加するまでには、また大きなギャップがあるかもしれません。自信やコミットメントの低い段階でもしばられずに、気軽に楽しみ続けられるようなステップを間に置く趣旨で、「JFAなでしこひろば」を開設しています。子どもに限らず、年齢に関係なく楽しめるような場として、様々な方々に開設していただいています。単発ではなく定期的に設定されていることが大事です。自信をつけて先に進むでもよいし、そのままやり続けてよいし、ひろば単位で試合にチャレンジしたりクラブに発展したりするのもあり。サッカーに関わるクラブや学校、施設等々、様々な方々に女子の環境を広げることに関わってもらうことにもつながっています。市区町村、中学校区に1つくらいある状態を目指したいということでスタートしました。 「JFAなでしこひろば」は、すべての女性がサッカーというスポーツを身近に感じ、日本中どこにいてもいつでも楽しむことができるよう、JFAが各地域の団体の皆さんと連携して開催しているサッカー体験イベントです。地域のサッカー協会、サッカークラブや学校、スポーツ施設など、様々な方々に運営に携わっていただいています。なでしこひろばに認定された団体は、公式サイトへの掲載や運営ツールの利用など様々なメリットがあります。 「する」 女子の受け皿を増やす、 居心地を良くする クラブ創設サポート 指導者の理解 女子だけの機会を並行して環境改善 女子の受け皿がもっと増え、選択肢が豊富になることが理想ですが、現状では男子とミックスの場で プレーするケースが多くなっています。多くの場合、1人あるいは少数の女子が、大勢の男の子の中で意思強く頑張っています。よりたくさんの受け皿、またその環境がより居心地の良いものとなるよう、少し配慮していただけると大変ありがたいです。女性の指導者やスタッフがその中にいると、子ども達にとって大変心強く、安心して参加しやすくなると考えます。中学校では部活動を選ぶ子も多く、そこで プレーする女の子達を定期的に集めて練習会もしていただいています。U15年代のクラブを創設していただくところをサポートする取り組みもあります。 出会いからその先までを全体像を見据えて、カバーし、つないでいくために、サッカーに関わる全ての 皆さんと共に、女子プレーヤーを見守り、橋渡しをしていただければと思います。 全国の各地で、その資源や強みを活用しつつ、点と点、人と場、取り組みと取り組みをつなげていく べく、各都道府県FAに普及コーディネーターを設置し、全体像のコーディネートをお願いしています。ぜひサッカーに関わる皆さんに、女子のパスウェイ、橋渡しを共に考え、伝えていただけると幸いです。 女子サッカー普及コーディネーターとは 47都道府県サッカー協会に配置された「女子サッカー普及コーディネーター」は、女子サッカー普及活動の調整役として、既存の事業や行事、制度等を有効活用し、それらをさらに発展させる他、女性がサッカーにより気軽にアクセスできる環境の創出や整備を様々な観点から促進させる役割を担います。 「見る」 女子ワールドカップで新たなオーディエンスを得た より多くの人が観戦しやすい環境・発信  女子サッカーには男子のミニチュアではない別の魅力や価値があり、何を面白い、心地良いと感じるかは人によって異なり、様々な楽しみ方があります。近年の女子ワールドカップ等では、新たなオーディエンスを得たと言われています。1つには、クオリティが高まりサッカーとして語られるようになったことが挙げられますが、そればかりでなく、異なる魅力を持つサッカーに惹かれた人達が楽しむようになったと分析されています。もっと広がる可能性があります。  男女のサッカー全体で、今まで以上に、より多様な、より広いオーディエンスを惹きつけもっと応援されるものになればと思います。 「関わる」 女性指導者を増やす 背中を押す 参加しやすい女性コース等の設定 ライセンス取得者に現場での活動を促進 ロールモデルを示していく プレーヤーとともにまだまだ少ないのが女性指導者です。短い歴史の中で、女性指導者に指導を受ける、自分自身が指導者になるというイメージがようやく広がりつつあるところです。女子選手を増やすためにも、現場に女性指導者もいる状態をつくりたいものです。指導者資格は本来男女問わず与えられるものですから、女性だけに特化した取り組みには議論がありましたが、一定期間は特別な対応をして変化の土台をつくる必要があると考え、女性コースを設定しました。参加しやすさ、より積極的な参加につながり、女性指導者同士のネットワークも生まれています。また、育成年代だけではなく、例えばWEリーグのような高いレベルで監督を担える女性人材輩出に向けて、Associate-Pro(A-Pro)ライセンスやJFA・AFC女性プロディプロマコース等を開催しています。また、指導者養成の女性チューターを増やすことにも取り組んでいます。現在活躍している活躍する女性指導者達に聞くと、多くの場合は、恩師や周囲の人に背中を押されて、ライセンスをとってみようと思った、という例が非常に多いです。ぜひ声掛けをし、背中を押していただきたいと思います。 「関わる」 様々な場、意思決定機関にも女子の参加を 女性リーダーシッププログラム 勉強会・意見交換、ネットワーク構築  意思決定層に多様性が必要と言われます。議論の際には、様々なマイノリティを忘れがちになることに、自覚的になることが大切です。サッカーに関して言えば、女子サッカーの環境について女子を交えて考える、ということだけでなく、サッカー全体のことを女性も交えた多様なグループで検討し判断していくことが豊かな広がりを生むと考えられます。多様性の一要素として、意思決定機関に女性を、という動きが社会の中で出てきていますが、まだまだ進みが遅いです。  様々な意見がありますが、クオータ制(割合の設定)、ポジティブアクション(格差を是正するための特別措置)は、変化を起こすきっかけとして大事なものです。これらのアクションによって入った人が機能し多様性の良さを出し、その方がやはり良いということを皆が実感することがゴールです。また、「声をかけてもやりたがらない、断られる」という声も良く聞きます。そのためにも、女性達が学び準備するマインドセットを変えていくと共に、ネットワークの構築、組織への働きかけ等に取り組んでいくことが必要です。プログラムという形が難しくても、勉強会やディスカッション、意見交換等から始めていただくことも有用です。 「JFA女性リーダーシッププログラムとは」 このプログラムは、JFAと一般社団法人日本女子サッカーリーグ(WEリーグ)が共催で、サッカー界・スポーツ界を牽引する女性リーダーを育成するという目的の下に、2020年度開設されました。WEリーグは、「日本の女性活躍社会を牽引する」を第一の設立意義として掲げ、運営にあたる法人を構成する役職員の50%以上を女性とすることや、意思決定に関わる者のうち少なくとも1人は女性とすることをWEリーグに所属するクラブの条件としています。 「全般」 子ども連れのお母さん達にも楽しんでいただくために 託児所の設置 ママを招待  「する」「見る」「関わる」すべてに、小さな子どものいる保護者への託児のサポートについて要望が挙がることがあります。例えば試合の場では、観客、選手、指導者、審判、運営等に関わる人が参加しやすくなります。研修会や会議等の場も同様です。「若いママは参加が難しいだろう」「来たがらないだろう」と思い込まず、参加の可能性、選択肢を用意したいものです。O-30、40の大会では、チームが安全を確保する前提で、ベンチ周辺への子どもの入場を可としました。  世の中には歴史的に、社会や教育のアクセスから始まり、このスポーツは男子のもの、この仕事や役割は男性あるいは女性がするもの、という様々なバイアスがあります。サッカーをすること、プレーすること、指導すること、運営すること等々、もっと広がって当たり前になっていくことが望まれます。日本の女性のサッカーへの参加状況、取り組みについては、2021年より毎年『女性のエンパワーメント原則年次レポート』を作成しています。 【20から21ページ】 国内外の事例をご紹介します。 「する」 JFA Magical Field Inspired by Disney  心から安心してサッカーを楽しんでもらうための第一歩を、ディズニープリンセスと一緒に踏み出す事業が2022年から開始した「JFA Magical Field Inspired by Disney」です。初心者の女の子が、親子で参加できる環境にも後押しされ、ディズニープリンセスで装飾された会場で、ボールを蹴る楽しさを感じていただき、「またやりたい」という多くの声を聞くことができました。その気持ちに応えるため、2023年から「なでしこひろば“Second Touch“」を新たにスタートさせました。これまでサッカーをやったことがなかった小学生以下の未経験者、初心者を対象として全国のJFAなでしこひろば認定団体が開催しています。まだサッカーを始めたばかりの子ども達でも、安心できる環境で、身近で、気軽に、楽しく、サッカーやスポーツの楽しさを感じることを目指しています。 「みる」 ママサポ 松本山雅FCの取り組み  松本山雅FCでは、医師や助産師さんにママ達をサポートいただきながら、安心してスタジアムに来場できる環境づくりにチャレンジしています。信州大学医学部「周産期のこころの医学講座」から、コロナ禍において妊婦や子育て中のママ達が家で過ごす時間が増加したことで、うつ状態になる方が増えているという社会課題について相談を受けたことがきっかけとなり取り組みがスタート。ホームゲームで妊産婦がサッカー観戦ができるようにする企画や、メンタルヘルス不調を抱える妊産婦や父母の無料相談ブースの設置等を行っています。 「ママサポお話ブース」 ホームゲーム開催日、専門の医師・助産師の皆さんに、試合観戦に訪れるママ達の話を聞いていただいています。子育てや自身の体のこと等、日頃の悩みを気軽に話してもらうことができました。 「安心!ママサポチケット」 子どもが小さくて観戦をあきらめていた、周りに迷惑をかけてしまうと等、そんな気持ちのママ達へ、サッカー観戦が外出するきっかけや気分転換になるよう、小さなお子さんと安心して観戦できるエリアを設けました。参加者には、選手からの子育て応援メッセージ入りの直筆サイン色紙もプレゼント。 「ママサポ安心フリーチケット」 観戦エリアの近くまでベビーカーを利用できたり、ミルク調乳用のお湯、おむつ交換台の設置、立って赤ちゃんをあやせる「あやしスペース」を設ける等の工夫をしたエリアに、ママ達を招待しました。専門の医師や助産師さんに見守っていただき、必要に応じてサポートしていただきました。 「全般」 子どもと一緒にサッカーにアクセスする  出産と育児は、ときに女性がサッカーから離れる要因となります。WEリーグやJFAでは、選手や審判員、職員の産後復帰を後押しできる制度を整えるとともに、スタジアムや練習環境での託児施設の設置を進めています。WEリーグの参入基準には、「授乳室および託児施設を設置すること」という項目があり、スタジアム内の託児施設では、小さいお子さんのいる方でも最後まで試合を楽しく観戦していただくことができます。2023-24シーズンではリーグ戦、カップ戦を合わせて122名が利用。WEリーグ主催のクラシエカップ準決勝および決勝では、定員に達し、「WEリーグには託児所がある」ということが、少しずつですが浸透してきています。  また、2024年3月に開催されたJFA第35回全日本O-30女子サッカー大会では、子どもがベンチ周辺にいることをマッチコーディネーションミーティングで認め、お子さんのいる女性が安心してサッカーを「する」環境に向けて前進しました。 「全般」 女子サッカー・スポーツを通じて、夢や生き方の多様性にあふれ、一人ひとりが輝く社会の実現・発展に貢献する WEリーグの取り組み  「女子サッカー・スポーツを通じて、夢や生き方の多様性にあふれ、一人ひとりが輝く社会の実現・発展に貢献する」を理念として発足したWEリーグは、クラブ参入基準に女性登用を義務付けた日本初のスポーツ組織です。リーグやクラブの役職員だけではなく、試合に関するあらゆる場所で女性スタッフを配置することを推進しています。実況や解説、中継のディレクターやカメラマン等、これまであまり関わることの少なかったポジションで女性が活躍しています。また、理念実現のために、選手やクラブ、パートナーによる行動を「WEACTION」と称して行われる取り組みの中で、女性が競技を続けるための環境に向けたディスカッションや自身のキャリア形成に必要な知識を学ぶ機会も設けられています。  2024-25シーズンには、「する」「見る」「関わる」機会を増やし、多様性の枠を広げることをテーマとした「ALLWEACTIONDAY」が開催されました。パネルディスカッション『女性や障がい者サッカーへのアクセスについて』とトークセッション『選手が語る「多様性」とWEACTIONDAY』の二部構成のイベントは、手話や音声ガイドも活用して進められました。 WEリーグでは、「WE ACTION」として様々な施策を実施しています。 理念推進活動「WE ACTION DAY」では、クラブや地域の特性を活かしながら、リーグが大切にする理念を考え、それを実現するための活動を行っています。 例えば、2024年に、サンフレッチェ広島レジーナは「女性がサッカーを続ける環境」について、広島経済大学女子サッカー部とのトークセッションを行いました。 コラム 一般社団法人長野県サッカー協会会長 マキナリー浩子さん 「多様性組織からは変革が生まれ、新しい価値を創造していく」  英会話教室を軸にグローバル化支援に関する様々な事業を立ち上げてきた私にとって、サッカーはたまに観戦をする程度の存在であり、競技経験もありません。ですから、経営者仲間から長野県サッカー協会の副会長職を打診されたことは思いもよらない出来事でした。サッカーをやってきた男性ばかりの同質体質組織から多様性組織への変革、経営スキルがあり組織構築できる人材の必要性、さらには女子サッカーの普及を目指したいと伝えられました。ダイバーシティは私のライフワークでもありましたので、それであれば何かできるかもしれないと思ってお受けしました。しかし、実際には、サッカー界出身でも男性でもないことで、自分がマイノリティな存在であり、組織の中で孤独を感じました。何を期待されているかわからず、理事会でも発言できない日々が1年続きました。  そのような中、JFA/WEリーグ女性リーダーシッププログラムに参加する機会をいただきました。最初の自己紹介で「この研修で自分の軸を見つけたい」と話した記憶があります。協会の中で軸も持たずに何もできない自分を何とかしたかったのです。研修は毎回、現状の課題と自分の役割を結び付けて考える機会になりました。研修の仲間に会う度、気持ちを分かり合えたり共感したりしながら、失いかけていた勇気と自信を取り戻していきました。  この研修で、受け身ではなく自分から発信する重要性に気がついたことは大きな成果でした。これまでは、「何をやれば良いですか?」という姿勢でしたが、自分にできることを考え、自ら行動、実行するようになりました。研修のたびにマインドが変わり、行動が変わり、「軸」ができ始めてから個人課題プロジェクトに取り掛かりました。まずは協会の数人の理事と1on1をさせてもらい、協会の歴史やそこから生まれてきた風土の中で皆がどのように感じてきたのか、これからどうありたいか、サッカーへの熱い思いとそれを通して実現したい夢などを聞かせていただきました。1on1で皆が情熱をもって組織をより良くしていきたい、変わりたい、という強い気持ちを受け止めました。  2024年6月、研修の個人課題として発表した「皆が所属していて幸せを感じる組織つくり」を実現できるかもしれないと思い、会長に就任しました。研修で出会った仲間のエネルギー、前向きな情熱に後押しされなかったら、会長就任を受ける勇気を持つことはなかったかもしれません。  就任以降は、これまで諸先輩が築いてきた歴史を刻み、出来上がっているものをリスペクトしながら変化させていくことの難しさを感じています。皆がボランティアで活動している社会貢献団体では、使命感や満足感、やりがいを強く感じられなければ空しくなります。ですからまずは、多様でありながら一体感のある組織、皆が協力し合いながら達成感のある事業活動を目指しています。私はサッカー界出身でなく協会歴も浅い、わからないことがたくさんある、だから皆さんにたくさん教えてもらわなければいけない、協力してもらわなければいけない。知らないことを強みにして、謙虚に教えていただきながら新しい発想で皆と一緒に進んでいきます。変革したい、でもしっかりと守りたい歴史もある。だから「私達は守るために変わるのだ」という皆の思いをしっかりと背負いながら、役割を果たしていこうと思っています。  多様性に富んだ組織からは変革が生まれ、新しい価値を創造していくことができます。女性の感性は協会の発展やサッカーファミリー増大に大いに貢献できるはずです。私は私らしい会長をやっていきたいと思っていますので、どうぞ応援してください。